【文豪ストレイドッグス】前略、トリップしました〔織田作之助〕

十二日目 ページ13

忘れかけていたデザートを食べながら、織田作の質問に答える



あ、お金……


私が持ってるお金、ここで通じるかな……？



「そういや、お前親は？」



「いない」



こっちの世界にはいないから、あながち間違いではないと思う。




「それなのに学校に通っていたのか？」



「まあね」



もとの世界ではだけど



「今までどうやって生きてきたんだ？」



「普通に暮らしてたよ


朝起きて、学校行って、勉強して、バイトして、寝て……


はっきり云ってつまんなかった……って、こんなこと云っちゃ駄目か？」



私の想像では、織田作はまともな生活をしていない



学校に行っていないから、そこで形成されるであろう人間性というものが欠けてしまったため、あの天然が出来上がったというのが私の考えだ



そこがいい、想像しただけで鼻血出るわ



出したらまた引かれると思うので我慢するけど



「別に、お前がそう思っているのなら、俺には関係ないことだ」



「そう……なんかごめん」



「これからどうするつもりなんだ？」



「住む場所はマフィアの事務所内の一室を与えられてるし、



仕事とか外出するときは織田作と一緒にでしょ……どうするって、何を？」




あ、仕事と住む場所流れで決まってたわ



その流れ最悪だったけど



「お前はもう、黒社会の人間だ


普通の生活には戻れない」



「黒社会もなにも関係ないよ


私が今いる場所が、私が生きる場所


そこがどんな場所であろうと、私はそこで生きるしかないんだから、考えても仕方ないよ



このガトーショコラマジうまい」



思わず頬が緩む


ここまでおいしいものは食べたことないよ



さすが、織田作が通うだけあるね



「……ふっ」



え、笑われた？



つか笑った！！



織田作が、笑った！！



レア、マジでレア！！



うん。もうここで死んでも何の悔いも残らない気がする



せめてそのたくましい腕の中で逝かせてください



そしてその素肌に触れたい



「変なやつだな」



「難しいことがわかんないだけ



ノーテンキってよく云われるけど」



あー、ガトーショコラマジうまぁ

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