コミュ障だから実はチートだって言えない

入社試験！...の、準備！（進まなくてごめんなさい） ページ16

(却説、準備準備)
太宰は、動物園でせっせとAの入社試験の準備をしていた。

(昨日、倉庫でAちゃんが見せた冷静さが本物なら、この仕掛けにも気づいてくれるよね)


仕掛けは2つある。
一つはフェイク。すぐに見つけることが出来る、というか太宰が自ら誘導するつもりだ。だが、そこから脱出するのには時間がかかる。重い扉を上に上げなければいけないからだ。
自分で考えて他のより良い道を探すことが出来るか、臨機応変な力が試されるだろう。

そして2つ目の仕掛けがより良い道だった。パニックになっていれば中々見つけられない。
...まあ、実際はただ上にぶら下げてあるだけだけど。ぶら下がっている紐を引っ張ると抜け道が開けるような、単純な割にはちゃんとした仕掛けだった。...細かいところはよく分からないが。((

(Aちゃん届くかなこれ？外側にもぶら下げてあるから頼まれたら私が引っ張れば良いか。見つけたことには変わりないし。)




仕掛けの出来に満足して、これから試験を受ける竹中に期待を寄せる太宰だったが...大事なことを忘れていた。──Aは、コミュ障だということを。


(頑張れ、Aちゃん)

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