検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:6,280 hit

九十八度目 ページ7

No side




『強いのは良いが、あまり暴力的すぎると女性に嫌われてしまうぞ?』


「あぁ?いいんだよ、別に。」


『...それはいくら自分が暴力的すぎても女性が寄ってくるという意味か?』


「ちげぇよ!そんなんじゃねぇし!ただ...」


『ただ?』


「何でもねぇよ!」



そう言って中也はぷいっと顔を背けてしまった。







※Aは気付いていないところ、それは中也からすれば


【A以外は眼中にない。】


という思いからなのだが勿論本人は知る由もない。



だからか。





__なるほど。




『中也は所謂、イケメンと言われる部類か。』


「はぁ!?」



さらに顔を赤く染めた中也が凄い勢いで振り向いたのは無理もない(笑)←いろんな意味で。



__あぁ、そうか。




なかなか人は見かけによらないもので、中也はこう見えても昔からシャイなのだ。

仕事柄、粗雑で荒くれたところもあるし、(馴染みのある者の間では恥ずかしさからと分かるが)ぶっきらぼうなところもある。


でも、案外手先が器用で(これは偏見かもしれないが)男のくせに家庭的。

おまけに精神面(メンタル)も繊細ときてる。




自分で考えるうちに妙に納得してしまった。






『まぁ、力を振るうのも仕事だから仕方ないが...』





「手前は暴力的だとか(そういうの)気にすんのかよ?」



ボソッとした小さな声で投げかけられた問い。

答えて欲しいような、答えて欲しくないような。

そんな思いが込められた。



『ん?...あー、別に私はそこらへん頓着ないな。』


__誰に嫌われようがどうでもいい。




「え?...あぁ、そっちか。」



中也からすれば聞きたかった答えとは少し違っていたが、実は無自覚天然なAのこと。



__まだこの想いは伝えなくていい。





とにかく、今確かな事。






ふとAが上を見るともう一台カメラがあった。

狙いを定めるように見据える。


『...これが【仕事】だからね。』







バゴォン



頭上からパラパラとカメラの破片が降ってくる。






中也はニヤァと微笑を浮かべる。



「暴力的すぎると男に嫌われるぜ?」


挑戦的な青い瞳が彼女を見つめていた。

お返し代わりに笑みを浮かべ、彼女も言う。




『言ったろ?仕事だって。』


彼女自身、自分の耳に届いた声が随分楽しそうだなと思った。

九十九度目→←九十七度目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:メープル | 作成日時:2017年5月25日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。