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館長の依頼 二 ページ9

「可能性はあるみたいですよ!」

図書室で今度会ったときに見せる為の本を選んでいると司書が大慌てで教えてくれた

「じゃあ俺が行く!」

「で、でももしかしたら……」

「大丈夫だって!なんせ俺は天才小説家、太宰治だからな!」

「同じ太宰やしええんちゃう?」

「俺たちが行ってもあまり効果は期待できないしな」

そう言われて司書が頷く

「そうと決まれば早速行くぞー!」

「あ、いってらっしゃい……」

司書の不安げな顔を見て俺は手を振ってから太宰治を此方の世界に連れてくる為にもう一度本の中に入った









「……お、いたいた」

入ると直ぐに太宰治はいた

「先刻の“私”か」

「俺は俺だ。俺はお前に会いに来たんだ」

そう言えば太宰治は首を傾げる

「俺と来ないか」

そう言って俺は太宰治に手を差し出した

「……何故?」

「……俺はお前だ。でも違うところもある。でも少し気になるのがあった。お前、この世界にやけに適用し過ぎてないか?それと……侵食されてるんじゃない」

そう言うと太宰治は少しだけ左腕を動かした

矢っ張り……

「その包帯の下、如何なってる」

「……君に話さなくてもいいだろう?」

そう言って太宰治は笑う

この笑いだ……

「……お前は誤魔化してるだけだろ」

「誤魔化す?何を」

「……自分を」

そう言えば、太宰治は俺をじっと見てからため息をつく

「いいよ、判った」

そう言って太宰治は俺の手を取った

それと同時に、俺達は帝國図書館に戻ってきた

「おかえりなさい!太宰先生と……太宰さん」

「私を知っているのかい?」

「勿論!」

そう言って司書が文豪ストレイドッグスのマンガを手に取る

「ずっと好きな作品ですから」

そう言えば太宰治は少し俺を見た後

「ふふ……それはありがたい」

と言って本当の笑みを見せた









______________ もとより、太宰は、

人間に失格しては、いない

フツカヨイに赤面逆上するだけでも、

赤面逆上しないヤツバラよりも、

どれぐらい、マットウに、人間的であったか知れぬ。

小説が書けなくなったわけでもない。

ちょッと、一時的に、

M・C(マイ・コメディアン)になりきる力が衰えただけのことだ。

坂口安吾 『少年とキリスト』より

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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時

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