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四章 二節 ページ31

そのまま進むと、洋館に来た

その瞬間私の何かがまた呼びかけた

「ほな行くか〜」

そう言って先に進む織田作の服の袖を掴む

「太宰クンどないしたん」

「行くな……君は行ったらダメだ」

何かが危険を知らせていた

“人を救う側に_________”

彼方の世界の織田作の服を掴んだ腕の包帯がはらりと解けた

「いくな……織田作……」

「……太宰クン、此処から一番悪い気配がすんねん。此処にボスがおるんや」

そう言って彼方の織田作は私を嗜めるように言う

「……なぁ太宰、此処に覚えがあるんだろ?」

「判らない」

そう言って首を振る

なにも判らない

忘れたくないのに……織田作は何処?

「……もしオダサクになんかあったら俺が全力で死なせない」

そう言って彼方の私が私の腕を掴む

「俺はお前の記憶が戻って欲しいし、オダサクにも死んで欲しくない。お前にも判るだろ?」

そう言われて頷くと彼方の私は静かに笑った

「大丈夫だ!」

その笑顔は、嘘だと分かった

「……嘘を言わないで」

「え……」

「死にたくないんでしょ?君は」

そう言えば彼方の私はそのまま俯く

「おい太宰!此奴はお前を助けるって_______」

「そうだよ、俺は臆病者だから死にたくない」

静かな声が響いた

「でも……誰かに笑って欲しいんだ。その為だったらなんでもする。オダサクは俺より先に死んだ。だからその分今の人生は長く生きて欲しいんだ。その為なら……惜しくないって思うけど……その隣に俺だって居たいんだよ!」

そう言って太宰は顔をあげる

「だから……お互い、守りたいなら守ろうぜ?」

そう言って彼は手を差し出す

「……そうだね」

そう言って私はその手を握り返す

私は今彼の『人間失格』が理解できた気がする

笑って欲しくて自分を傷つけていたのだね、君は

彼は私の手を引いて洋館の前に立つ

何故か洋館からは銃声が響いていた

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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時

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