迷い犬 二 ページ11
「……あっちの世界の太宰君?」
「そ、そうなんですよ!」
そう言って俺が笑えば夏目先生が芥川先生の名前を呼ぶ
「ごめんね」
「い、いえ!邪魔してすみませんでしたっ!」
そう言って急いで戻る
やった!思いの外芥川先生と話せた!
そう思っていると、太宰が一冊の本を手に取った
「……人間、失格」
「あ、それ俺の本なんだよ」
そう言えば太宰は棚に戻してからもう一冊
斜陽を手に取った
「……君の作品はどんな風に考えながら書いてるんだい?」
一頁をめくりながら太宰が俺にそう問う
「……その作品は晩年に作った」
「……なるほど」
そう言って太宰は本を閉じる
「何時もと違う本を読むのもいいね。借りるよ」
「あ、じゃあ俺が借りてくる。太宰は此処で待ってろよ」
自分と同じ名前の太宰治を太宰と呼ぶ違和感
でも、それと同時に期待があった
俺の作品を褒めて、そして、笑ってくれるかもって
「司書〜これ借りたいって太宰が」
「太宰さんが?へー……良いですね」
そう言って司書がノートに“斜陽”と書く
「私もこの作品好きなので、太宰さんも好きになってくれたら良いですね」
「え……俺の作品好きなの?」
「はい、描写と言うか……言葉遣いや場面……そして太宰先生の言いたいことが伝わると思いますよ」
そう言って司書が笑う
俺も笑ってから太宰の元に帰った
その日、太宰は俺の部屋で夜更かしして半分読んでいたらしい
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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時