猫の金平糖 1−0 ページ24
「…ッは、?」
俺の見た光景は、想像を絶して居た。
床も壁も、血だらけも善い所。
中心には、赤い人物と、捕虜。
隣で、「嗚呼、もう…」と言い乍ら砂糖で治療する玲。
…こんな時まで手から離れない菓子についてはもう言及せぬ事にして…。
右の手首、足首から下が無い。
音を消してゆっくりと近づいてみる。
血の中には、白い物、薄く削がれた皮膚何かが無尽蔵に積まれている。
…紛れもなく捕虜の物であったモノである。
凄絶な光景に、俺は何か気分が悪くなって手で口元を無意識に覆った。
もう疲れた早口で情報を言ったのを聴いて、首をほんの少し傾げる様にして笑ったらしかった。
「…はい、御疲れ様ァ。
全く、こんな単純作業に時間を取ってはいけないじゃないか。
捕虜たる者、敵に情報を吐かなければ存在価値が無いと言うモノだろう?」
その声には聞き覚えがあった。
少し前、捕虜室で海季がマフィアに入れた知り合い。
てっきり情報部にでも行ったのかと思ったのだが。
「御免ね玲、御疲れ様」
「疲れたぁ…」
其の侭玲来に背を向けた。
「あぁ、待ってゆっきー。
其の侭行っちゃ駄目、って言ったじゃない」
「…御免ね、何時も」
…確かにそんな血だらけで歩いたら、な。
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作者名:月霞銀樹 | 作成日時:2017年8月23日 16時