そして今日も振り回されるのです【文豪ストレイドッグス】 (ページ48)

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43. ＂彼の方＂ページ48

中也に促されたAはよいしょと小さく呟きながら男の頭付近に膝を曲げるようにして座る

太宰「あ！あの角度パンツ見えそう！」

中也「黙れ太宰」

太宰「冗談だって。というか私の言葉に一々反応していたら中也禿げるよ？あ、真逆…その帽子は」

中也「ハゲ隠しじゃねーよ。まだ生えてる！チッ、糞が。手前こそ捨てた女に毛を毟り取られて禿げればいい」

紅葉「園児共、喧嘩はやめんか！ほれ、直ぐに始まるから大人しゅうしておれ」

側でギャアギャア騒ぎ始める彼らを紅葉が制したと同時にAが床に横たわる男の頭に手を置いた

A「貴方が此処に来た理由は？」

彼女がそう言うと男の口がまるで機械人形のようにギギギと開く

「"あるお方"からの命令で来ました」

A「ほほぅ。"あるお方"ですか…。では、マフィアに襲撃をかけた理由もその方から命令を受けていた、と云う事で宜しいですか？」

「はい」

A「何故、狙いがポートマフィアのみだったのですか？貴方程の財産持ちであったのならば日本政府にも圧力を掛けられた筈です」

「確かに、俺も＂彼の方＂にそう進言しました。ですが、＂彼の方＂は狙うなら先ずはポートマフィアからだと仰ったのです」

男がそう云うと同時に今迄ニコニコと笑いながら傍観していた森の顔が険しいものへと変わる

A「成る程…。何か大きな目的のためにポートマフィアから抑えつける必要があったのですね」

「はい」

A「もし、ポートマフィアを抑えつける事に成功していたら何をするつもりだったのですか？」

「＂彼の方＂の愛しい人を探し出すつもりでした」

中也「は！？」

太宰「え？」

その突拍子のない解答にその場にいる全員が口を閉口させる

A「＂彼の方＂の愛しい人…。ふむ…少しだけ人物像が見えてきた気がします。＂彼の方＂は男性ですね？しかも、相当の我儘みたいだ」

「＂彼の方＂は我儘などではない！＂彼の方＂が我々に仰っる事は全て正しい！＂彼の方＂こそが我々、人の上に立つべき存在！＂彼の方＂は神に愛されしお方なのだ！！崇高なる志を持った神に近しきお方！！」

＂彼の方＂の為ならば俺は命さえも投げ打とう！

今迄機械のように喋っていた男が初めて声を荒げる

男のウットリしたような目と激しくなる息遣いにAは目を細めた