31・虜囚/組合船舶 ページ34
「ほらお嬢ちゃん、いい加減白状しちゃいなよ。
──マフィアが組合の私有港湾で何してたんだ、よッ!?」
諭すような猫なで声から一転。色黒の異国人は短刀(ナイフ)を思い切り私の上腕に降り下ろした。
「うッ……あぁ!!」
激痛が走った。余りの痛さに堪えていた声が漏れる。傷口からどくどくと流れ出す血がシャツを真っ赤に染め上げた。……あぁ、刺された程度でこの様なんて、情けない。
あいつはこんな刺し傷は目じゃない位に、傷だらけになってたって云うのに。
今現在の私の状態を一言で説明するのなら、ずばり『虜囚』だ。
組合の私有港湾にて次の作戦の為に船舶付近で待機していた。それがまんまと見付かり情けなさ極まり無い事に見張りの異能者に捕縛されて今に至る。
マフィアの次作戦を聞き出す為に絶賛拷問されている最中だ。最悪。
「なぁ、そろそろ吐いちまいな。そうすりゃあ命だけは保証してやるからよ」
「……そんな見え透いた取引に応じると思うのかしら?」
下卑た笑みを浮かべて、私の身体を舐めるように見ている男を鋭く睨み付ける。
喩え腕をもぎ取られようが爪を剥がれようが、はたまた身体を凌辱されても──こんな奴にマフィアの情報など呉れてやるものか。私は死んでも組織を裏切る気なんて無い。
そんな意味を込めて睨む目に力を込める。
それに、予定通りならそろそろ……
「……チッ。これだから日本の女は融通が効かねえから困る」
男はそんな私を見て舌打ちをすると、短刀を床に放り出した。勿論、私の手に届かないように反対側の壁に蹴飛ばして。
「……どういう心算?」
まさかこれでお開き、なんて幸運は振ってこないだろう。警戒心を強める私に、男はポケットから錠剤の入った袋を取り出してニタリと嗤った。
「拷問の方針を変えるんだよ。……アンタ中々良い女だからな」
- 金 運: ★☆☆☆☆
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まかろん - いつになったら続きだすんですか? (2022年3月3日 18時) (レス) @page38 id: e90d3fb299 (このIDを非表示/違反報告)
村越 - 続き……続きが読みたいです!待ってます!! (2018年12月31日 1時) (レス) id: 221d19ed47 (このIDを非表示/違反報告)
なをりん - 茉莉(まつり)さん» ありがとうございます!私の書く文章から、そう云った感想を頂けるのは正に感無量です。伝えたいことをちゃんと拾って下さっているんだな、と思います。滞り気味ですが……どうか最後まで御贔屓ください! (2018年7月24日 23時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(まつり) - 何か無償に泣ける…更新がんばってください、楽しみにしてます…! (2018年7月21日 10時) (レス) id: 5299f2ee2b (このIDを非表示/違反報告)
なをりん - デミオムさん» コメントありがとうございます!私は今年受験生なのですが、そんな温かいコメントにいつも遣る気を分けて頂いています!この作品もあと少しで完結です!最後まで御贔屓ください! (2018年5月21日 21時) (レス) id: 1a2989d09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なをりん | 作成日時:2017年7月12日 18時