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be with you *95 ページ46

目まぐるしく変わる情勢に、感情が追いつかない。

昨日までの毎日に戻れたら、どんなにいいだろう。
今日一日で、まるで十年分生きてきたような気分だった。


恐怖で押しつぶされそう、死にたくない――――
本音だった。






でも、この世界に来て、
決して一人ではないと感じたから。


いつでも笑顔を向けてくれる人たちが、
其処にいたから。



たとえどんなに
不格好でも、不器用でも、

私は生きていけた。

そう、気づけたから――――――――





私はすっくと立ち上がる。


立ちくらみになりつつも、
唇に滲んだ血をおもむろに拭い取り、落ち葉を踏み出した。


私は、行くべき人なんだ。
私が捕まって終わるのなら、それでもいい気がした。





早朝、大会の幕が切って落とされてから、既に日が傾いているのか。
光こそ届かないものの、凍てつく空気に体が震えた。


日が落ちてしまえば、闇に乗じることは
相手の方が何枚も上手のはず。


私はためらいもなく走り出していた。








足音を消して歩くことに長けていると自負していたものの、
湿った落ち葉の妙な音が、静まり返った森のなかにぱちゃぱちゃと音を立てる。


ふと横を見やれば、膝丈まである黄色い枯草が、
なだらかなに稜線を描いて下に折り重なるように続いていた。

飛び込んで身を隠し、また走る。




すると。









漆黒に染まる森の中に緋色が見えた。




例の忍かもしれない。




息を潜めていると、







『A?』




これまたどこかで聞いたことのある声だが、
生憎にも思い出せない。



高い草むらから顔を出すと、
目の前から深緋の忍がどんどんと迫ってくるのが見えた。


目が、合ってしまう。




A「あっ…」


腰を抜かしたまま後ずさった。
そのまま目をそらすことが出来ずにいると、






『A、俺だよ』


その忍は、口を覆っていた深緋の覆面をとると、
頭巾をするりと剥いでみせる。




その姿は相違ない、――――



A「お…尾浜先輩?」

尾浜「ずばり」



その時、僕も一緒です、と
先輩の後ろから顔を出したのは。



尾浜「そうそう、“数也”もいるんだよ」

数馬「先輩、“数馬”です。いいかげん覚えてください。
  A先輩!お怪我はありませんか」


A「大丈夫。“数也”ありがとう」

数馬「A先輩、それはボケなんですかね」



無事で良かった。

膨れ面になる数馬と
天然丸出しの尾浜先輩を見て、自然と笑顔がこみ上げた。

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≪今日のラッキーアクション≫

自分の自慢話を誰かに語りまくれ!!3時間語れれば合格。


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サラスティー(プロフ) - ももりんさん» ももりんさん、ありがとうございます…!戦闘シーンは私自身頑張ったところだったので(笑)とても嬉しいです!応援していただき感謝です…!! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - 生まれたてさん» そう言って頂けて嬉しいです、うーチャン!私も大好きなんです、勘右衛門が← (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - 笹豆腐愛し隊隊長十六夜サザンさん» 殺気、分かります(笑)勘チャン…!嬉しいです!頑張ります! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
ももりん - バトルがおもしろかったです!続編楽しみにしてます!! (2015年3月27日 16時) (レス) id: 45e6ebfad2 (このIDを非表示/違反報告)
生まれたて - 勘ちゃんの戦闘シーンがかっこよすぎです!情景が浮かんできました!勘ちゃん愛してます♪ (2015年3月27日 11時) (携帯から) (レス) id: 079e5a0b02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラスティー | 作成日時:2015年1月12日 13時

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