be with you *38 ページ14
私たちは穴のすぐ横に座り込んだ。
綾部「なんで此処にいるの、Aは」
A「そのまま返す」←
綾部「僕はずっと落とし穴の研究だよー」
A「良く飽きずにやっていられるなー逆に羨ましいよ」
綾部は小首を傾げて私を見た。
私は続ける。
A「そんなに熱中するものがあって」
綾部「…誰だって『最初から好き』なんてものないよ」
綾部は右手に木の棒を握って
ぐるぐるとまわしながら言い放った。
綾部「だんだんそれが大切なものになっていく…そんな感じじゃないのー？
Aだってあるでしょ」
A「…そうかな」
私が細い月を見上げて、ぼんやりと答えた。
すると綾部は唐突にも、私にこんな質問を投げかけてきた。
何かを詮索するかのような目で、じい、と私を見詰める。
綾部「Aって、どこの国の出身だっけ」
・
・
・
私は、自分の出身に関しては誰にも何も言ったことがなかった。
乙鶴にも、なぜかこれは打ち明けなかった。
A「…知らない。両親も、いない」
これを聞くと、綾部は目を丸くして、黙り込んだ。
夜の冷たい風が、私の頬を切るようにして通り過ぎていく。
綾部は、「そうなんだ」とだけ言うと、
木の棒を横に置くと、踏鋤を手にして立ち上がった。
A「どこへ行くんだ？」
綾部「んー？ターえもん十五号がまだ完成してないから、其処に行くー」
A「ターえもん？何だそれは」
綾部は首だけこちらのほうに回して、
綾部「蛸壺。戦場とかで退避するために掘る一人用の塹壕のことだよー、ちなみに今、
Aのいる位置から二歩半右にトシちゃん七号がいるから気を付けてねー」
A「はっ！？」
私は急いで右を向くが、穴が掘られているような形跡はない。
その代わりに、小石やら木の枝やらが不自然に置かれていた。
どうやら仕掛け罠のサインのようだ。
綾部「じゃ、そういうことでー」
綾部は長屋とは反対方向のところに歩いて行った。
私はしばらくの間、マイペースなその背中を見つめていたが
すぐに我に返り、長屋のほうへ向かった。
be with you *39 綾部side→←be with you *37
≪今日のラッキーアクション≫
今日１日は武闘派になるべし。勝ォーー負ーーーーーーーーッ！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クラオタになった生まれたて - サラスティーさん» 嬉しいです( 〃▽〃)あ、タメで構いません！ (2015年3月27日 11時) (携帯から) (
レス) id: 079e5a0b02 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - クラスタになった生まれたてさん» クラスタになったんですか！（笑）そんな嬉しいこと言って頂いて・・・！是非、こんな私でよければ！ (2015年3月26日 19時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
クラスタになった生まれたて - 綾部の細かい心理描写が可愛すぎる…楽しいです!!☆ヽ(▽⌒*)サラスティーさん、お友達になって頂けませんか!? (2015年3月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 079e5a0b02 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - また生まれたてさん» 読みやすいだなんて嬉しいです！話運びが良い！？そんなお言葉は頂いたことないので幸せです！ (2015年3月23日 19時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
サラスティー(プロフ) - 真夏の愛の夢さん» 嬉しいです！これからも文章力磨きます！（笑）頑張ります。 (2015年3月23日 19時) (レス) id: 74dfc3bef1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラスティー | 作成日時：2014年12月10日 1時
