カルテ39 ページ42
「じゃあ何で、此処にシロを連れてきたんですか…!?」
「それはね、」
「シロ君が異能力者である事を証明するためさ。」
一呼吸置いて太宰は敦に告げた。
「何故此処で…?此処はシロにとって嫌な場所でしか無いんですよ!」
「いや、他に無かったんだよ…“丁度良い暗がり”がね。」
「あっ!?」
不敵に笑った太宰は素早く敦から懐中電灯を取り上げ、地面に叩きつけた。
「バリンッ」と云う音と共に懐中電灯の灯りが消える。
然し数十秒しても何も変化は無い。
「変化無し、なら次は之を試そう。」
闇の中から太宰の声は聞こえるものの、ガサゴソと云う物音以外彼が何をしているのかは誰も分からない。
「!?おい太宰!このっ…臭いはっ……!!」
「うん。異能誘発剤。致死量まではないから安心して。」
「うっ…………ああああああッッッ!!!!!」
突然放たれた悪臭と共に3箇所が光り始める。
其れらはそれぞれ、「月下獣」、「人間失格」、「独歩吟客」を発動した時に起こる光。
異能誘発剤は凡人に能力を与えるだけでなく、異能力者の異能を引き出す事も出来るのだ。
「っ、はぁ、はぁ…」
「無理矢理異能を出されると、少々気持ちが悪い…」
「此処でリバらないでね、国木田くーん。……さて。」
荒く息をする敦と気持ち悪そうな声を上げる国木田に声をかけた太宰は、真剣な顔付きになる。
視線の先には2つの赤い光。
「っあれ?シロは!?」
敦の焦燥に駆られる声が闇から聞こえる。
それでもその赤い光は闇の中で浮き続ける。
「こうでもしなきゃ、出て来てくれなかっただろうね…やァ、シロ君。」
「グルルルルル……………………」
「立派に唸り声まで上げちゃって。其れは自分の意思で出している物かな?」
太宰の言葉に赤い光から怒りに満ちたオーラが発せられる。
「国木田君、敦君。一歩も動いちゃ駄目だよ。」
「太宰、何を………?」
「狼退治、かな。」
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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時