カルテ38 ページ41
「異能誘発剤…?」
「うん。元々何の異能も持ってない一般人に異能を与える事が出来るんだ。実際この研究所は裏でポートマフィアとも繋がってた。」
「ポートマフィアと…!?」
敦は芥川の顔を浮かべる。
「異能誘発剤を売ってたんだろうね、恐らく。
でもポートマフィアとシロ君は関係無いよ。」
「じゃあ、何で………」
・
・
「シロ君を新たな蒼き王に仕立てあげる為さ。」
「そんな馬鹿な…!?」
太宰の言葉に国木田は絶句した。
田口六蔵の父親の件で心に傷ができたと云うのに、あの悲劇を再び引き起こそうと云うのか。
「研究者達に蒼き王信者と思われる者が依頼を出していた。恐らくソイツの差金だろうね。」
「でも飽く迄シロ君は候補だった。だから新しい王誕生の為に身を捧げると云う意味の…献体、だったんだろう。」
「そしてそんなシロ君の周りで死んでいった子達もまた、候補であるシロ君を異能力者にする薬の実験体として死んだ。」
太宰から告げられた事実はシロを締め付けた。
「仲良くなった大切な友達」だったのに、自分の為に死んでしまったのだと。
「あ…………あぁ…………」
其れはシロにとって、残酷過ぎる事実だった。
涙で霞む視界。脳裏には大切な「友達」の笑顔。
「誘発剤の副作用にも耐え切ったのは唯一シロ君だったけど、私達が研究所に来た時は未だ異能は発動し切れてなかった。にも関わらず信者に引き渡そうとしていた辺り、危なかったね。」
つまり、もう少し遅ければ今頃シロは新しい王となっていた。
・
「じゃあ、何で、あの時…ボクだけを助けたの…?
他にも生きている子達は居たよね…!?」
「…いいや。誰も居なかった。死んでたんだ。
他の子達の居た部屋には大量の毒素が撒かれていた。シロ君を信者に渡して他の場所に研究所を移そうとしたのかもしれない。それで…」
研究者の所為で、他の献体達は死んだ。
でも殺したのはシロと云っても過言では無かった。
涙が止まらないシロを抱きしめる敦も、震えていた。
シロも自分と同じ様に深い傷を負っていたのだと。
「皮肉にも実験は成功してしまったんだ。沢山の友達を犠牲に。」
太宰は目を伏せそう告げた。
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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時