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カルテ30 ページ33

「…で、結局事件はどうなったんだ。」
「其れが…急に被害者の遺族を名乗る人達が出てきて…」





国木田の問いに敦が答えると。










「でも、遺族っていうのは嘘、なんだけどねー。」






「え…!!?」



乱歩の言葉に敦が驚く。



「どういう事ですか?乱歩さん。」
「元々事件の起こったあの村は治外法権の村って有名だからねー。
法に則られない癖に金欲しさに遺族面するなんてどうかしてるけど。」
「そんな………
あの女、死んだ人間、大切じゃない…?」
「シロ………」



シロの目から涙が伝う。
敦は黙ってシロを抱きしめた。



「だから僕としては犯人は動物だって真実突き出した方が良いと思うンだよね。
この名探偵の依頼をドタキャンした罪は重いと思うんだァ…」


乱歩が皮肉を込めて笑う。


「何より証拠が揃っているからね。動物の毛も、爪痕も。あの村なら証拠を消しかねないから早いとこ終わらせた方がいいよ。
国木田君、太宰、一緒に来て欲しい。」
「分かりました。」


話が落ち着き各々帰宅する事になった。


「シロ、大丈夫?歩ける?」
「う、ん…歩ける。」
「帰ろうか。皆さんお疲れ様でした。」
「おつか、れさま、で、した。」


足元が覚束無いシロの手を引いた敦は家に向かった。





























「与謝野先生、例の物は調べられましたか。」
「…太宰。」

誰もいない社の中、太宰は与謝野と対峙する。

「アンタ達がシロを研究所から逃がしたあの日、シロに繋がれていた管……」


与謝野がパックに入った管を見詰める。
シロの体から外していた管たちのうち1つを太宰は隠し持っていた。


「…恐らくシロは嘘をつかれてるねェ…」
「どういう、事ですか。」


















「シロの管から流れていたのは、サキシトキシンではなかったよ。」
「…!!矢張り…」

与謝野の顔が真剣になる。


「妾は科学者なンかじゃないからねェ、出来る範囲は限られていたから…Na+を管に残っていた物質に加えた。でも変化は見られない。って事はシロに与えられていたのはサキシトキシンでは無い。」
「………」



太宰の顔付きは険しくなる。



「…では、サキシトキシンで無いとしたら何だと云うンです?」
「……分からないんだよ。
少なくとも、医学的物質では無い。」
「…分かりました。有難うございます。」


太宰は医務室を後にした。

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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時

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