BULLET Detective Agency 3 (ページ39)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:20,199 hit

ページページ39

.

晃一は空港のカフェで、千崎にトメの話をしていた。

「頼まれた物は何があっても断らないし、あきらめない」という千崎の言葉に感化されて、昨夜、トメの家に行ったからだ。

「私はおばあちゃんの気持ちがわかるな」

「わかりますか？女やから？」

晃一は食い入るように千崎を見る。

「いや、そうじゃなくて……。私はおばあちゃんが吉野さんに本当に見つけてほしいものは違うんじゃないかなって思います。おじいちゃんの幽霊じゃなくて、なくしたお守りとかでもなくて……。私たちに依頼がくるのは形のある物なんですが、その物には私たちには見えない思い出や、強い思いがあるんだと思います。だから乗客の方は私たちのところに探してくれって言ってくる……」

そうかもしれない、と晃一は思った。

「私は捜してくれと頼まれたら……その人がどんな思いでいるんだろうっていつも考えます。じゃないと、他人の物なんか捜ませんよ」

千崎の話が、晃一の胸に深く染み入った。

.