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変な奴 ページ14

Aside


威「…ん、旨いねこれ、この黄色いの」

「卵焼きだよ」

威「たまごやき…」


…砂浜に並んで座りながら、神威くんは私が今日作ってきたお弁当をパクパクと食べていた。それほどお腹が減っていない私は、彼が食べている様を隣で見つめていた。

昨日はお腹減ったと帰って行ってしまったから、またそう言うんじゃないかと思って作ってきたけれど、やっぱり正解だった。作ってきてよかったと思いながら、卵焼きをその透き通るような青い瞳で見つめる神威くんに笑いかける。


「…ていうか、卵焼き知らないの?」

威「うん、見たことはあるけどね。…でもやっぱり、地球の食べ物は美味しいね」


次から次へとお弁当の中身を平らげていく。そのスピードに圧倒されながら、私は首を傾ける。


「……地球のって……ん?」

威「ん?あぁ、」


まぁ、色々あるんだよ、と。適当に流されてしまう。よく分からないけれど、何かしらの事情があるのかなぁ、なんて思いながら、「そっか」と返してそれ以上問い詰めることはしなかった。


……まぁでも、そうだよなぁ、と思う。

……多分、昨日会った時から薄々感じてはいた。彼はきっと、私が全く知らない世界の人なのだろうと。なんとなく、雰囲気とかそういう所から、そんな風に思っていた。…私とは、遠い場所にいるひとのように。だから、例えば彼が宇宙人だったりしたって、不思議ではないのだと思う。


威「この緑色のは?」

「ブロッコリー」


ふーん、と言いながら神威くんはブロッコリーを一口でパクッと口に放り込んだ。…結構大きめで切ってあるのにな。


威「……うん、美味しいね、ブロッコリー」

「でしょ?」


……まるで、子供を見ているようだった。美味しい美味しいと目を輝かせてお弁当を食べる神威くんを見ていると、自然と笑みが溢れてしまう。


…とてもとても、胸の辺りが優しく暖かい。口を尖らせて怒ったような顔をする時も、目を細めて空にかざしたシーグラスを見つめる時も、無邪気に笑った時の顔も、私の目に焼き付くように残る。彼の表情一つ一つが、私の心を縫っていく。


「……神威くん、」

威「ん?」

「ほっぺた、ついてるよ」


……彼のほっぺたについたご飯粒を取ってあげながらに、思う。


……会ったばかりの君に、こんな気持ちを抱くなんて、と。自分でも驚きながらも、私はそれを受け止めていくのだ。


……やっぱり私は、変な奴なのかもしれない。

淡い期待→←おあいこ



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設定タグ:銀魂 , 神威   
作品ジャンル:アニメ
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月兎。(プロフ) - ピピコさん» ふふ、今だにみに来てしまいます笑。私も作品をかいているのですが昔みた時のこの小説の印象が強くて。私の小説はピピコさんの小説に結構影響されてます。これからも頑張ってくださいね!素敵でした! (2018年4月6日 18時) (レス) id: 62fe788d65 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 神威いのちさん» 神威いのちさん!ありがとうございます!!5回も!!たくさん読んでくれて嬉しいです!こんなシーンが書きたいとかシーグラスを使ってみたいとか、そんな私の嗜好が詰まったお話でしたが、お楽しみ頂けたなら幸いです!読んで頂きありがとうございました! (2018年3月10日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 月兎。さん» 月兎。さん!ありがとうございます!!わぁぁ探してくれたんですか…!初めて書いた神威さんのお話なので、すごく考え込んだんですけど、そう言って貰えるなら書いて良かったなぁと心から思いました!情景描写も頑張ったので嬉しいです!ありがとうございます! (2018年3月10日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
神威いのち - むちゃくちゃ感動しました!何回見ても飽きません!因みに私、この作品5回くらい見たんですけど、何度見ても涙が止まりませんでした! (2018年3月10日 14時) (レス) id: 28f8b922b6 (このIDを非表示/違反報告)
月兎。(プロフ) - 思わずため息が出るほど素敵な作品でした。以前この作品を読んでもう一度読みたくて、探してまでここに来ました。語彙力ないのは許してください笑。一つ一つの表現が綺麗で、実際にそこにいるかのような文章でした。素敵です。最高でした!! (2018年3月1日 15時) (レス) id: 62fe788d65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2017年7月28日 21時

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