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不器用.20 ページ20

貴「…んん…」
少しずつ明るくなっていく視界

覚醒してくる頭
貴「……あれ…?」

気がつけば広いベッドの上にぽつり座っていた
スマホを見れば10:38と表示された

…流石に寝すぎ…?
というか…私、自分でここに来た…?

記憶にないんだけど…
貴「……っ、はるくん…」

そうだ…
昨日は春くんを待ってて…

でも帰ってこなくて
そのままダイニングのテーブルで寝ちゃって…

貴「…春くんが、運んでくれた…?」
そうじゃないと説明がつかない気がした

いくら私の寝起きが悪いとはいえ
自分で寝室まで来るのは不可能だと思う

…運んでくれたとするなら、優しすぎる
好きでもない、むしろ嫌いな人を

わざわざ寝室まで運ぶなんて…
また勝手に春くんを好きになる

私の気持ちなんて迷惑なだけなのにね
バレないように隠さないと…

…結局、一緒に食べれないまま寝ちゃった…
空腹も睡魔も限界だった

そう言えばお腹が空いている
昨日の夜を抜いてるんだから当然か

ベッドから足を下ろしてリビングに向かう
春くんは既にお仕事で家にいないってわかってるのに

彼を探してきょろきょろしてしまう
貴「…っ、」

昨日の夜のまま
一緒に食べるはずだったご飯が並んでいた

…食べてくれなかった…
キュッと胸が苦しくなる

…帰って来るの遅かったし…
疲れていて早く寝たかったのかも…

そんな都合のいい解釈をして
自分を慰めた

期待してたからこそ…
すごく悲しくて、すごく辛かった

貴「……食べよ…」
呟いた声は思っていたより震えていた

朝食にしてくれても良かったのになぁ
なんて自分勝手なことを思う私はバカだ

そんな権利、私にはないのに
椅子に座ってラップを外す

そこでそれを温め忘れた事に気づく
でも、どうでもよかった

涙のせいで味もしなかったし
温め直す気力もなかった

春くんの所為じゃないことなんて
ちゃんと分かってるのに

どうしても涙が溢れてきてしまって
止まってくれなくて…

……誰か慰めてくれないかな
なんて馬鹿なことを考えた

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咲良(プロフ) - Yさんさん» 何回も読んでいただけていることに感激です……嬉しいコメントありがとうございます! (1月1日 17時) (レス) id: 99406de1b2 (このIDを非表示/違反報告)
Yさん(プロフ) - ホンマにこれって何回読んでも神すぎて好きです♡不朽の名作ってやつ!?好きーっ♡ (12月29日 22時) (レス) @page41 id: e05060289a (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なるせさん» ありがとうございます!場地さん最後になっちゃいました…他の作品が完結したらすぐ書き始めるのでお待ちください…! (2021年12月17日 0時) (レス) id: 387270c9d7 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ - んんんん好きです!!んと場地さんのが見たいです!!順番最初だと嬉しいなあ、、!? (2021年12月16日 22時) (レス) @page37 id: 875c8ad43b (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - おふとんさん» ありがとうございます!勢いがすごい!笑 (2021年12月12日 23時) (レス) id: 387270c9d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山口咲良 | 作成日時:2021年11月12日 17時

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