手当て。労いの言葉。 ページ16
只今手入れ部屋にて、薬研兄様に手当てをしていただいています。
薬研「お疲れさん。A、よく頑張ったな。」
このように、本丸で会う人会う人に労いの言葉を掛けられましたが
心情は、少し複雑でした。
_______________________
長谷部「よく頑張ったな、A。」
光忠「Aちゃん、お疲れ様。初めてなのにみんな無事に返せて偉いね。」
前田「Aさん、無事に帰れてとっても偉いです。」
博多「A、帰ったと?ちゃんとできとうAば偉か〜。」
五虎退「Aさん、お帰りなさい...。無事に帰ってきてくれて、僕、嬉しいです...。」
_____________________
このモヤモヤ、薬研兄様になら話せる気がした。
薬研「よし、終わったぞ。」
『ありがとうございます。あ、あの、薬研兄様。』
薬研「どうした?」
『その、少し話をしても良いですか...?』
薬研「あぁ、」
『私、本丸に帰ってきてからずっと
会う人会う人みんなに褒められたんです。それは凄く嬉しかった。でも
私は、何もしていないし寧ろ迷惑を掛けただけでした。
そんな私が、沢山褒めてもらってしまって良いのかな...と思ってしまいました。』
薬研「そうか。俺は、Aはよく頑張っていたと思う。
Aが来る前、乱が絶賛していたぞ。
その中で聞いたAの行動は、勇敢だったと俺は思うな。
初陣でそこまで勇敢なことが出来るのは凄いことだぜ。
もっと自分を誇れ。」
『や、薬研、兄様...。』
力強いのに、とても優しく、思いやりあふれる声。
薬研兄様の優しさに思わず涙が溢れる。
薬研「ははっ。そう泣くな。ほらっ、来い。」
薬研兄様は笑いながら頭を撫でてくれた。
そして両手を広げた。私は、そこへ飛び込む。
温かい。
自分よりも華奢な身体は、一見頼りなさそうに見えても
本当はとても力強く、ちょっとやそっとでは倒れない丈夫さがあった。
しばらく、薬研兄様の優しさに甘えた。
ラッキー隊長
小夜左文字
12人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杜 | 作成日時:2024年1月2日 1時