出陣。 ページ12
「集合!」
へし切長谷部の声が本丸中に響き渡る。
縁側前の広場、本丸中の刀が一堂に会した。
長谷部「主から出陣の命が出た。今回出陣する者は
打刀:大和守安定、加州清光、 脇差:にっかり青江、 短刀:今剣、乱藤四郎
そして、隊長は...
脇差:A藤四郎!
以上、この六振りだ。」
みんなの視線がAに向く。
『___わ、私が、隊長...?』
A藤四郎は、新しく顕現した刀であり、秘蔵っ子である。
故に、自らの身で戦ったことも無ければ
戦場で振るわれたこともない、スーパールーキー刀だった。
A藤四郎は、困惑していた。
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光忠「顕現して、まだ一週間しか経ってないのに
初陣、しかも隊長だなんて、主もなかなか厳しいことするね。」
長谷部「まずは実力を見てみることが重要だろう。」
光忠「それもそうだね。」
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長谷部「A、前へ出ろ。」
『は、はい。』
なんだろう...。怖いな。隊長ってどんなことするんだろう...。
長谷部「そんなに緊張しなくていい。ただ、皆に大まかな指示を出すだけだ。
困ったら、周りの奴に聞け。主はお前以外全員、初めの方に顕現した者を選んだ。
誰に聞いても心配は無い。
だが、お前には一つだけ重要な役目がある。
皆を、無事に折れることなく帰還させることだ。
其れを最優先に考えろ。」
『はい、分かりました。頑張ります...!』
長谷部「よし。この守り、主からだ。隊長であるお前に授ける。」
『あ、ありがとうございます...!』
主様からの、お守り...。嬉しい!!
ふいに、肩に手を置かれた。
長谷部「顕現したてのお前に大きな功績を期待しているわけではない。
もっと、肩の力を抜け。
くれぐれも、無理はするなよ。」
長谷部さん、言葉は堅いけどちゃんと元気づけようとしてくれてるのが分かる。
優しいなぁ。
光忠「うんうん。長谷部君の言うとおりだね。
無理はしちゃだめだよ。」
光忠さんは物言いも優しくて、素敵だな。
みんな優しい。きっと大丈夫だ。
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戦闘服に着替える。
くるくる回って、鏡で自分の姿を確認する。
鏡に顔を寄せ、頬を叩く。
『よし。』
気合いは十分。
黄金色に輝く機械の傍に立つ。
さぁ、いざ戦場へ。
ラッキー隊長
小夜左文字
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作者名:杜 | 作成日時:2024年1月2日 1時