シンジュクに住む引越し屋〔ヒプノシスマイク 〕

引っ越し 十三話 ページ16

『どうも、高坂(こうさか)様。引っ越しセンターです。僕、こういうものです。よろしくお願いします』



おきまりのセリフを吐き出し、俺は目の前の依頼人に名刺を差し出す。今回はシンジュクから
シブヤにお引越しをするそうだ。



「よろしくお願いします」
『わかりました』



もしかしたら、【あいつ】に会えるかもしれないだなんて、仕事中なのに少し楽しみにしている自分がいた。



『よし、仕事始めるか！！！』







『うぃぃぃ…やっと終わったあ！』
「お疲れ様っス！」
『お疲れぇ……』



オレンジジュースを買ってきてくれた優しい後輩の頭を撫で、大きい背伸びをする。



「今回のお客さん、依頼多かったっスよね」
『ああ、あれはヤバイ』



こんなこと言うのもあれだが、「ここはこうしてください」やら「もっと右にお願いします」「やっぱこっちで」などと色々文句を言われたが溜まっもんじゃない。俺仕事してきて初めて「もっと斜め45度くらいに」って言われた。

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