バブルリング〔紫〕 (ページ27)

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学校にも塾にも通わなくなって2週間が経とうとしていた頃。

滅多に鳴らない私のスマホが震えた。

表示された名前はしげだった。

あの後、志望校は変えずに学部を変更して受験することをしげから聞いていた。

だから電話の内容がなんとなく予想できたので、少しドキドキしながら通話ボタンをスワイプする。

「あ、出てくれた。今電話大丈夫？」

『うん、平気だよ』

「二次の、結果が出てん」

『うん･･･』

早く結果が知りたいのに、しげはゆっくり話すから私も気持ちを悟られないようにしげのペースに合わせて話す。

「俺な･････合格してた！」

『えっ、おめでとう！！！』

「ほんまに胃が引き千切れるんちゃうかってくらい合否見るの緊張したわぁー････」

電話口の向こうから聞きなれた笑い声がする。

姿は見えないけど、その声だけで安心して涙が出そうになる。

「最後まで背中を押してくれたAに真っ先に伝えたかってん、まだオカンにも言うとらん(笑)」

『それは早く伝えてあげなよ！(笑)』

「おん････ほんまありがとうな。」

素直に感謝の気持ちを伝えてくれるしげに電話越しでもなんだか照れてしまう。

『いつ引っ越しするの？』

「んー、今月末くらいかなあ。やからあと2週間くらいしかこっちおれへんな」

嬉しかった気持ちから一変して、今度は寂しさがジワジワと胸の中を支配していく。

「絶対遊びに来てな！俺も頻繁に帰ってくるようにするし！」

" Aが来るまでに案内できるようなとこ探しとくわ " なんて張り切るしげに笑って頷くことしかできなかった。

2週間後には別々の地で、それぞれ新たな生活がスタートする。

窓の外では桜の蕾がゆらゆらと風に揺られながら私を見ていた。

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