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「お前だって気付いてるだろ。お前の気持ちを俺が知ってること」
不思議そうな顔をしているテヒョンにそう言えば、目を見開いて俺を見る。それに苦笑する。
「なに驚いてるんだよ。分かってたことだろ」
そう言ってもテヒョンは何も言わなかった。
「俺もお前もそこには触れなかった。俺は過去のことがあったからAの背中を押す気にななれなくて。ちゃんと自分で歩み寄れるなら見守ろうと思ってた」
もうAが傷つかないように。また同じことが起こらないように。
まあテヒョン相手ならそんな心配もしてないけど、でもこればっかりはAが決めることだから。Aがどう感じるかが問題で、俺やテヒョンの気持ちは関係ない。
Aが望むなら俺は否定せず、ちゃんと見守ってやろうと決めていた。でもただ見守るだけじゃだめかもしれないな。
「お前はAのことを大切に思ってくれてるんだろう？」
「うん…大切だよ。あの笑顔を守りたいって思う」
静かに口を開いたテヒョンに頷く。俺と同じ。テヒョンもAを守りたいと思っている。大事な妹をそうやって思ってくれることが嬉しかった。
「あいつは見かけによらずなかなか厄介な奴なんだ」
Aの顔を思い出しながら話せば、テヒョンはチラッと後ろを見てAを見ていた。その表情はやっぱり優しくて。テヒョンのAへの想いが伝わってくる。
「そんな難しいAが俺じゃなくてテヒョンに相談したってことはそれだけお前に心を許してるってこと」
「そう…なのかな。やっぱりユンギヒョンには敵わないって思うよ」
「まあそこは家族だから仕方ないところもあるかもしれない。でもそれを抜きにしてても、Aはお前を頼ってると思うよ」
「それだったら嬉しい」
「そうやってAのことを想ってくれてる様子を見て、そしてAもそうだから。それなら俺はお前にAを任せてもいいと思ってる」
「それって…」
驚いて俺を凝視してくるテヒョン。なんか自分で言って、親父みたいだなって思って笑えてくる。
「任せてもいい」とか。テヒョンはまだはっきりと俺にAへの想いを伝えたわけじゃないのに。もうテヒョンなら大丈夫だって思いこんでる。
俺の言葉にテヒョンは意を決したように口を開く。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
