【TH】キミの一番が欲しい 2 (ページ40)

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あいつは俺には変な遠慮と、そしてたまに俺に対する意地で何も話さないことがある。それが気に入らなくて、なんで俺に言わないんだって思うことも多々あった。

でもそんな簡単なことじゃないんだと、Aの気持ちを知ってからは少し距離を置くようになった。

何かあれば言わないAを問いただして、洗いざらい言わせるんだけど。でもそれをしてはいけない時があることを知った。

Aが全てを俺に打ち明けないことが増えてきて、寂しい気持ちもあった。Aが悩んでいるなら、苦しんでいるなら一緒に悩んで苦しみたいと思った。

双子っていうのは良いのか悪いのか何も言わなくても分かってしまうところがあって、Aが何も言わなくても感じ取ってしまうことがあって。

だから余計に何も言わないAに対して不満があって、分かるからこそ共有して欲しいってずっと思ってた。

それにAは俺に言えないと、他に言える奴がいないから。Aには俺しかいないと思ってた。それじゃ駄目だと思っても、Aにとって俺がそれだけ大きな存在っていうのが嬉しくて。

たった数時間しか変わらないけど、俺のが先に生まれたわけだから。兄としてAを守らないといけないってずっと小さい頃から思っていた。

それに親にもそうやって言われてきた。Aは女の子なんだから、と。ユンギはお兄ちゃんなんだから、と。

だから俺も兄として、俺よりか弱い存在である妹を守らないといけないって思い続けていた。

でもそれが俺じゃなくてもよくなった。俺にも言えない、言いたくないことをテヒョンには打ち明けた。テヒョンの前でも俺と同じように自分の思いを打ち明けるようになった。

「お前なら大丈夫かもな」

「ヒョン…？」

ようやくAは兄離れできるかもしれない。人生で初めての彼氏ができても結局できなくて。まああの男はそもそもAの隣にいる男としてふさわしくなったからいいけど。

でもAがちゃんと兄離れできて、俺を優先しなかったらまた違った未来だったかもしれない。

今度こそ、その違う未来になるかもしれない。それをテヒョンならしてくれるかもしれない。

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