【TH】キミの一番が欲しい 2 (ページ16)

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「あ、食ったらそれ弾いて」

箸でそれと指す紙に目を向ければ、コードが殴り書きされていた。

そのまま気になって食べるのを止めて電子ピアノの前に座る。コードを弾いていけば、ユンギも食べるのを止めてパソコンの前に座る。

わたしはスタイリストの道を選んだけれど、小さい頃からユンギと一緒になって音楽をやっていた。

そのためコードは読めるしピアノも弾ける。なんならギターだって弾けるし、編曲ができないわけでもない。

だからこうやってユンギの手伝いをすることがある。ユンギもわたしができることを知っているから。

それにやっぱり双子って便利で、何を求めているか分かって。

言葉がなくても今のところリピートすればいいのね、ここは気に入らないのか、って感じ取ることができて、それがユンギも作業する上で楽なんだと思う。

わたしが弾いていく音を拾いながら作業をしているユンギの姿を見るのがわたしは好きだ。

我が兄ながら、本当に天才だと思う。

一体どういう頭の構造をしているのだろうって思うぐらい、どんどん曲が溢れてきて。そんな発想はなかった、とかそんな風に音を組み立てるのかって驚いたり。

それを間近で見れるのはちょっとした優越感。ほとんど人を入れないこの作業部屋の暗証番号を教えてもらって、しかも手伝いをさせてくれるっていう。

わたしの兄は凄いんだからね、って世界中の人に言って周りたいぐらい。それぐらいわたしは兄馬鹿だ。

メンバーはユンギのがシスコン度が強いって思ってるみたいだけど、わたしも負けてないと自分でも思う。呆れちゃうぐらいユンギが好きだし、尊敬してる。わたしの中心はずっとユンギだし。

でも同じぐらい対等で、2人で1人になる大事な片割れとも思ってる。それが双子なのだと。

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