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「ヒョン…」
漸くユンギは僕の方に視線を向けて、そう僕を呼ぶ。それに僕は無言で見つめ返して答える。
「ヒョンがいつも俺に言うでしょ。俺とAは異常だって」
「そうだね」
「あれ、ホソクにも言われました」
「え？ホソクが？」
意外なような、ホソクならありえそうな。あいつもよく人のこと見てるし、敏感だから。それにユンギに臆することなくちゃんと言えそうだなって思う。
「まあ誰が見ても2人は異常でしょ。双子とかそういう域を超えてるもん。まあそれがまた2人のいいとろこなのかもしれないけど」
「…その近さがAを苦しめてることもあるんですけどね」
「立ち入ったことにまで僕は首を挟むつもりはないけど…」
突然そんなこと言い出すからびっくりする。てっきりテヒョンとAちゃんのことを話されるかと思ったから。テヒョンもユンギも何も言わないけど、きっと3人の間で何かあったと思うから。
ユンギは再びAちゃんを見ながら続きを話始める。
「もう俺もAも何が普通なのかは分からないけど、でも異常なことは理解している。今なら…俺達の関係が変わりそうな今なら、その関係を断ち切れるかもしれないって思って」
ああだからそんな穏やかにAちゃんを見てるの？ようやく解放してあげようって？でもさ、ユンギだけじゃなくてAちゃんもそう思わないと意味ないと僕は思うけどね。
「テヒョンが俺にAへの想いを打ち明けてくれた。俺もAの闇を少し伝えた」
静かに話すユンギの言葉を黙って聞く。ユンギにとってこういう話をできるのは僕だけだから。唯一、弟になれるのが僕だからちゃんと聞かないとね。
そしてやっぱりテヒョンは想いを打ち明けたんだって思った。
残念なのはそれがAちゃんにじゃなくて、ユンギにってこと。Aちゃんに伝えたなら、もっと劇的に状況が変わったと思うのに。
「テヒョンだったら大丈夫かもしれないって思った。もうAにはあんな想いはしてほしくないし、そうなるなら恋とかそいうのはAには必要ないとすら思ってる」
Aちゃんの過去の出来事は相当ユンギの中でトラウマになっているようで、ずっとずっと気にかけてた。男を近付けさせないように。変な男がAちゃんに言い寄らないように。
あんな男と比べたらテヒョンなんて比べ物にならない程いい男だと思うから、僕は大丈夫だと思うけどね。あとは当人の気持ち次第。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
