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ま「晋助様にAのこと伝えておくッス」
そう言ってまた子ちゃんが部屋を出て行ったのは何分前だっただろうか……
決断してからというもの、やはり呑気にはいられない。予想以上に緊張するなあ…時間が過ぎるのがすごく遅く感じる。
すべて、戻ったら私はどうするんだろう
力づくでも戻る?
ここにいる?
ここにいてどうするの?
もしかしたら真選組の人たちは私を探してくれてるのかもしれない。こんなのただの失踪に他ならないんだから。
でも心のどこかに見つけないでほしい……そんな真選組補佐が聞いて呆れる思いが雲隠れしているのは事実で。
ちらり、と彼が処置した腕に目をやる。
もしかしたら、全部嘘なのかもしれないのに。私が真選組の者だから私を捕らえて人質にしてるだけ、なんてこともあり得るのに、それでもあの人から離れないと、とは思えない。
こんな感情、知らない。
執着なんてしようとしなかった私にこんな感情はわからない。
戻らなくちゃいけない、だけど戻りたくない、ここに居ないといけない、ぐちゃぐちゃになった思考だけがどこまでも私を戸惑わせる。
嗚呼、もう夜はすぐそこにあるのに、晴れないなあ……私も、お前も。
また、橋の上の桜が散った。
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焉(プロフ) - うわぁぁぁ!凄い面白いです! (2018年10月7日 13時) (レス) id: 2fa9032b19 (このIDを非表示/違反報告)
高杉紗夜香(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!! (2018年1月14日 19時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スズちゃ | 作成日時:2018年1月9日 4時