【BTS】カタストロフィー【JK】 (ページ28)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:40,983 hit

・ページ28

世の中分からないことだらけだ。

事情聴取を終えた刑事は一人ため息をつく。先程とったばかりの調書を見つめ、首を捻った。

「…どういうことだ…？」

被害者、被害者の恋人、加害者

３人の証言が、噛み合っているようで微妙に食い違っているのだ

「…被害者は加害者に数ヶ月前から嫌がらせをうけ…」

それは、加害者も認めているけれど

「写真も猫の死骸も違う、と……」

‐…あの女引っ越したみたいで、居場所がわからなくなって

虚ろな瞳でぼーっとどこかを見つめながら加害者の女は喋り続けた。

‐だけど、神様は私の味方だった。あの女が、あの歩道橋に来るって。私に、お告げの手紙をくださったの…！

‐許せなかった、あの女。彼を傷つけて、ケガまで負わせて生きてるなんて。…でもやっところせた！

「なんか、気味悪ぃなこの案件…」

被害者はまだ生きていると何度説明しても、女は『殺した、ころした』とケタケタと笑うばかり。あいつはもうイカれてる。

刑事はまた溜め息をついた。

だいたい、女の証言には矛盾点が多すぎる。

若者で知らない人を見つけるほうが難しいであろう今をときめく人気アイドルの怪我は被害者のせいだと思い込んでいたり、それを知った理由も神様からの手紙とかなんとか言い出したり。

きっと、証言の食い違いも加害者の精神状態が不安定なせいだろう。そう結論づけた。

「でも…それにしても、おかしいんだよなぁ、」

不意によみがえる、女の言葉。

　
‐写真…？知りませんよ、そんなの。猫だって殺した覚えはないけど。

あのとき感じた奇妙な違和感。

嘘をついているようには見えなかった、ような。…だけどまぁ、

「狂った加害者の証言なんかあてにならないからな…」

刑事はまだ少しひっかかりの残るそれを、闇の中へ葬り去ることにした。