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「あなただったの……?だって、じゃあバラの花束の人は、」
「ああ、あの勘違い男?馬鹿だよね。本気でAと結婚できるとでも思ってたなんて」
吐き捨てるように言うこの人に嫌悪感が走る。
「同時期に過激なものを送っていたから同じ扱いをされてむかついたな……俺はAを見守ってるが上の贈り物なのに。あんな妄想男と同じにされて」
ぺらぺらと喋るこの人を信じられない気持ちで見る。
自分も異常だってことに気付いていないのだろうか……
バラの花束を用意して真剣にわたしに想いを伝えてくれたあの人より、このスタッフの方がよっぽどおかしいというのに。
「俺は絶望したよ、A」
一歩、わたしに近付いて深い溜息と共に突然そんなことを言い出す。
「ずっとずっとAを見てきた。1人で可哀想なAを写真におさめていた。そしたら……最近はそんなAの隣に必ず写りこむ男が出てきた」
また一歩近付いてくる。だからわたしも一歩後退る。
「そう、チョンジョングク。最初はメンバーだしまあ仕方ないかなって思ってたけど。毎日、毎日!Aの横にいる」
ジョングクの名前がまた出て、身体が震える。
「俺と話していたのに突然現れてAを連れて行く!手を繋いで、挙句の果てに抱き寄せて!」
「っ……」
叫ぶように言う声に一気に恐怖心が広がる。
その間も一歩一歩近付いてきて、わたしは距離を取るためにどんどん後ろへと下がっていく。
「そして気付いたよ。なんせ毎日見てたからね。残念ながら宿舎の中までは見れないけど……いつの間にかランニングまで一緒にするようになって。今までそんな笑顔を見せなかった筈なのにあの男に笑いかけて……」
「あ、……」
もうこれ以上は下がれなかった。背中が壁に当たって恐怖で震える。
「Aにも送ってあげたから知ってるよね?あんな姿を俺に見せつけて……俺がどれだけショックを受けたか。手袋を借りて喜んでいるAなんて見たくなかった。だから捨てた。必死に探しているAを見つけてまた絶望したよ」
「い、一緒に探して、くれたのに……」
「俺が持ってたんだから見つかるわけないのに必死に探してるのが可哀想で。だから落ち着かせてあげようかと思って」
「そ、んな……」
「Aはまだチョンジョングクなんかと一緒にいるつもり?」
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藍(プロフ) - Yukiさん» わー!こちらまでコメントありがとうございます!わたしも終わらせてしまうのは寂しかったのですが、だらだら続けるのもと思い完結させて頂きました!新作の方も楽しんで頂けているようで嬉しいです (2019年1月27日 20時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki - 藍さん!お久しぶりです!完結おめでとうございます!ずっと大好きなお話なので寂しいですが、藍さんの新作のほうも読ませてもらっているので、そちらも楽しませてもらいます!これからも頑張ってください! (2019年1月27日 16時) (レス) id: 5ccac3abe1 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ちなつさん» わあ!こんな長いお話を寝る間も惜しんで読んで下さったなんて感激です。ありがとうございました!お楽しみ頂けて良かったです。今後もそう思って頂けるお話を書きますね! (2019年1月16日 23時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» 毎回温かいコメントを残して頂いて本当に励みになっていました。こちらこそありがとうございました!胸焼けするほどのあまーいお話をお届けできて良かったです。 (2019年1月16日 23時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - お疲れ様でした!最近見つけたお話だったのですが、面白くて寝る間も惜しんで読んでしまいました(笑) これからも応援しています! (2019年1月16日 20時) (レス) id: 02f1f486b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2018年12月20日 21時