可愛いって言うな。

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「わ、私は次…な、なんの競技に……」

MG『先輩はあと借り物競走だけですよー！』

サッカー、バスケと殺人スケジュールをこなした私はベンチに横になり、ミンギュにうちわでパタパタとあおいでもらっている。

MG『先輩全くと言っていいほど活躍してなかったですねー』

「…球技なんて…もう何年やってないと思ってんのよ……そりゃこうなるわ…」

お昼休憩に入った体育祭の盛り上がりは折り返し地点へとやって来た。私が午後出場するのは借り物競走だけ…それが終われば……

MG『俺の写真撮ってくれましたー？』

「サッカーが始まる前にちょこっと応援合戦の写真は撮った、と思う…」

MG『後でそのデータくださいね！』

ミンギュはこうして私に親切にしてくれる。でも、当たり前だけど彼女が一番みたいだし、彼女の存在ってすごいんだな、彼女って名前すごい力持ってんなー。

「……彼女ってずるいなー」

MG『え？』

「…んーん、何でもない」

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ミンギュにパタパタあおがれて、ゆっくりお昼を食べて、あっという間に午後の競技開始時間となった。私の借り物競走の出番はすぐに来た。

SY『Aー！ファイティーン！！』

全然やる気のない憂鬱気分な私は、どうかお題が簡単なものでありますようにと願うことしかできなかった。

割と盛り上がるこの競技、大きな歓声に包まれる中、スタートした。スタートしてしまった。

一斉に走り出してお題を引く。

「…………えっ！？！？」

私の引いた紙には“可愛い人”の文字。
可愛い人！？人！？モノじゃなくて人なの！？

このお題に対する答えが1人しか頭に浮かばなかった私はその場で硬直。思考停止してしまった。

SY『Aなにやってんだよーー！！！』

スニョンに叫ばれてハッとする。
A組の方を見る。すぐに発見した可愛い人。

ジフンがこっちを見てる。
少し不安そうな顔をしてこっちを見てる。

動かない私を不審に思ったのか、放送部の1人が駆け寄ってきて私のお題をマイクを通して叫んだ。

『Aさんが引いたお題は“可愛い人”！唯一入っていた人に関するお題ですー！！』

おぉーっと沸き上がるグラウンド。

スニョンの方を見るとジフナ！ジフナ！って言いながらA組のほうを指差してた。

そうなんだよ、可愛い人って言ったら私の中ではジフンしかいない。

ジフン一択。

なんだけど、


「ミンギュ！！！！」

MG『え、俺？？』

私はスニョンの隣にいたミンギュの手首を引いてゴールテープを切った。

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