可愛いって言うな。

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「大失恋を経験し、心がボロボロになっている私、Aが歌わさせていただきます。聞いてください、“もう恋なんてしないって言い切りたいけど、たぶん無理”」

イントロが始まったと思ったらすぐに演奏中止が押されて歌詞が消えた。

SY『さっきから選曲が重い！暗い！！見てみろ！無駄にチカチカ光ってるミラーボールが役目を果たしていなさすぎて死んじゃってるだろ！！！』

「こんな気持ちで明るい歌なんて歌えるわけないでしょ！？！？大失恋したの！！しかも二回も！！失恋したけどハッピーな気持ちでGO！みたいな馬鹿げた歌うたえるほど、心は頑丈じゃないの！！」

SY『こういう時こそ、明るい歌がいいんだよ！！えーっ、チャームポイントは10時10分、元気が取り柄のクォンスニョンが歌わさせていただきます、聞いてください。“勇気元気2000万ボルト”』

「あー、すみませーん、特大山盛りポテトと、チョコレートパフェお願いしまーす」

SY『聞けよ！！』


間違ってません、大丈夫です、間違ってません。昨日ジフンにごめんと言われて心がバッキバキに折れたAです、間違ってません。

休日の今日、本当は一日部屋にこもって何も考えずに過ごそうと思ってたんだけど、スニョンにカラオケに誘われて、今に至る。

スニョンは私の大失恋は自分の責任でもあると、私に対して申し訳なさの気持ちがあるみたいで、今日は奢ってくれるって。


「こうやって馬鹿騒ぎしてると、少し気が紛れて忘れられる。誘ってくれてありがとね、」


昨日はなかなか眠ることができなかった。
泣き続けたせいで目は腫れて、真っ赤。
氷で冷やしてなんとか人前に出られる顔になった。


SY『呼べよ』

「え？」

SY『いつでも呼んでくれていいから』

「呼んだらこうやって馬鹿騒ぎに付き合ってくれるの？」

SY『おう。部活ない時ならいつでも。先約あってもおまえ優先にしてやる』

「…今ならスニョンと付き合える」

SY『残念だが、俺はおまえと付き合えない』

「…………」

SY『…………』

「なんで昨日今日と立て続けに振られなきゃいけないのよ！！！！マイク貸せこの野郎！！！私だってあんたとは何があっても付き合わないからっ！！！！！」

SY『あっ、ちょっ！順番的に俺だろ！！さっきからしんみりムードでつらいんだよ！！！明るい歌うたわせろ！！！！！』



今日ほどスニョンの存在に感謝した日はなかった。

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