すきなものの食べかた:41 ページ41
*
「 あー、なんかこいつマネージャーやろうかと
思っとるらしいねん。そんで見学しに来たんやけど
ビビって体育館入れんかったんやて 」
え?マネージャー?
何やら侑とコソコソ話している彼女と
ふいに目が合い、本当かと聞くと、微妙な表情を
浮かべて本当だという。
突然のことで驚いてはいるが、
彼女がマネージャーをやるのであれば、
彼女と接する機会が増える。それは嬉しいことだ
が、
「 なあ、あの子、結構かわいいよな 」
「 うん、あの子がマネやるなら大歓迎やわ 」
後ろからコソコソと聞こえたチームメイトの
会話の内容に、なんとも言えないざわりとした不快感が胸を襲う。
別に、彼女に本格的な好意を抱いているとかではなく、ちょっとしたノリで言っているんだろう、
それでもこのチームメイトたちが彼女を好奇の目で見ることが、たまらなく嫌だった。
この部活に入る、ということは
彼女が俺と接する時間が増える分、
他の奴らとも接する時間が増えることを意味する。
Aの彼氏でもない自分がこんな風に
考えてるなんて知ったら、彼女は俺のことを
どう思うだろうか。
彼女は俺のことを、優しい と言っていた。
全然そんなことないのに。
たったこれっぽちのことで、複雑な感情になっているのに。こんな自分を、彼女に知られたくない。
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彼女がマネージャーになり、少し経った頃。
俺と彼女の距離はだいぶ縮まり、彼女に対する想いもどんどん募っていった。と、同時にチームメイトへの鬱憤も溜まっていく。
「 なに、顔怖いよ 」
「 …お前、Aに変なこと言うてへんよな 」
「 別に何も 」
いつのまにか彼女と親しくなった角名、
休憩の際に彼女と何やら会話をしてからコートに戻ってきて、俺の質問に涼しい顔をしてそう答えた。
「 安心しなよ、横取りなんかしないし。 」
「 横取りはさせへんしそんな話してへん 」
「 何、なんでもないよ。ただの世間話。 」
誰が言わずとも、俺の彼女に対する想いは
角名にはすぐに気付かれた。好き好んで誰にでも言いふらすような奴やないし別に気付かれたとこで無害やろ、とは思ったったけど、こいつも侑同様、楽しんでいる。
「なんでもない」?
そんなわけないやろ、ただの世間話とやらで、
どうしたら一体彼女の顔があんなにも赤くなるのか。
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うに - すすす素敵すぎてびっくりしました!最後までキュンキュンしながら読みました! (2021年8月5日 15時) (レス) id: aca41c32b2 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - こんなにキュンキュンしたのは久しぶりです!本当にありがとうございます。胸が苦しい… (2021年4月19日 11時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 終盤泣きました。最高of最高をありがとうございます(真顔)。 (2021年1月16日 16時) (レス) id: f36e099441 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 初コメ失礼します!!終始キュンキュンしっぱなしでした、最高です!宮兄弟が好きな私にとって最高な作品でした!これからも頑張ってください! (2018年12月18日 0時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - つくねさん» ありがとうございます〜〜!!そういっていただけてとても嬉しいです;;;; (2018年11月16日 21時) (レス) id: 8b744c9e10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈕 | 作成日時:2018年2月3日 17時