マスター

6. ページ7

結局その子に連絡はしてない。


だけど、相変わらずAを追いかける毎日。





イベントやサイン会も欠かさず言って、Aと沢山お喋りをする。



SNSに撮り溜めたAの写真を載せていたら、PASSIONのファンから沢山フォローされた。


僕みたいな人をホームマスターっていうらしい。





僕がAの写真を載せれば、いいねやRTがされる。リプライも色んな言語でされた。



まだファンは多くないけど、Aを好きな人がこんなにいるんだと思ったら焦燥感にかられた。



…僕が一番にならなきゃ。


僕が一番になって、絶対にAを誰にも渡さない。

























「ジョングクオッパ！」


「へへっ、A。」


「今日もありがとう！」



何回見ても飽きない笑顔。


会うたびに僕はAがもっと好きになる。





「…デビュー活動も今回のサイン会が最後だから寂しいよ。」


「私もオッパに会えないの寂しいな…。


だけど、絶対次もオッパに喜んでもらえるような曲でカムバックして素敵な姿見せれるように頑張るね！」


「ふふっ、応援してるね！


Aのキレイな声がどんな曲歌ってくれるのか本当に楽しみだよ。」




次のカムバックはいつかな。


デビューしてすぐだから空白期間はそんなに空かないだろうけど、少しは接触イベントが無いからな…。


イベントはちょこちょこあるみたいだけど。
























「…ねぇ、オッパ。


いつになったら連絡くれるの？」




…あぁ、本当、めんどくさ。


最初は何も言われなかったけど、遂に聞かれた。



一番人気のない女。遊びか本気かは知らないけど僕に必死すぎ。








「…うーん。」


「…オッパが連絡くれたら、Aのこと、何でも教えてあげるけどなぁ。」



ニヤニヤして、僕の手を掴んでそう言ってくる。










…待てよ、確かにこいつと繋がれば、宿舎のAの様子も知れるし、周りの人間関係も知れるんじゃ…。



それにしばらくはAにこうして会えないことを考えれば…。






「…



いいよ。」


「本当にっ！？」



「うん、連絡してあげる。」







Aのためだもん。


それなら手段は選ばない。




写真撮るだけじゃ、ただのファンじゃ物足りない。









Aの心の中で一番の存在になりたい。

7.→←5.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す