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「ふたりがいちゃついてるのってなんか新鮮」
ちゃっかり見ていたカイが突然口を開く。
さっきの言葉、まさか聞こえてた、?
「すごいAが困った顔してるけど、コーイチ何したの」
私の心の声が聞こえたかのように言ってくれるカイ。
さすがにコーイチの声は聞こえてなかったみたいだった。
「お、オヤジがセクハラしてきた!」
「わ〜、それはいただけないわ〜」
「はあ〜?またそうやって俺をいじめる〜」
本当、カイがいてくれてよかった。
ふたりきりだったら、と考えただけでも寒気がした。
今はこうやって笑っていられるけど
私にだけにしか見せない目の色を、この人は出し惜しみも無く、挑発的に。___
昔から、大嫌い。
そんな風にあしらわれ続けて
肝心な本質なんてわからないままだ。
…きっと。
「ネクタイ直して」
さっきの言葉はどこにいったのか
けろっとした態度でそう言う。
「世話の焼ける…」
「ずっとそうしてて」
「え?」
「…」
彼が笑っていたような気がしたが
顔を見上げれば何もなかったかのように
つんとした表情の晃一がいた。
「そのくらい自分でやれ、じじい」
大嫌い、
大嫌い、
大嫌い。
___それは、本心?
なんて誰も聞かないから
本心にしておくんだ。
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作者名:柳 | 作成日時:2017年11月6日 17時