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「具合、悪ない?」



てっきりタカシに怒られるのかと思いきや

彼は心配の言葉をかけた。


あんなに注意喚起してくれたのに、私ってば…



「正直…悪い」



大丈夫だと

言ったところで主張は通らない気がして。


彼には誤魔化しがきかないことをなんとなくわかっていた。



「歩くのつらい?」

「ちょっと」



覗き込むようにして心配する彼は

腕を絡ませるようにし、私の腰を抱いた。


歩行が安定して、少し楽になる。



「…わかってたの?」

「ん?どれ?」



「えと、具合悪かったの」


「まあ。

汗、かいてたし。目が虚ろやったよ」



普通を貫き通していたはずだけど

彼にはお見通しだったみたい。



「あいつは何してたん?」



あいつ、

そんな棘のある言葉


妙にイライラしているタカシ。



「なんか、私と話したかったんだって〜

誰かさんがずっと隣にいるから」



現に隣にいる誰かさんを見上げてみれば

面白くなさそうに口角を下げていた。



「そんなん知らんわぁ…

具合悪いのもわからん奴に何がわかんねん」


「あはは。

でもタカシが来てくれて助かったよ。

具合悪いのもあったけど、私ちょっと苦手意識あったから」



ここぞのタカシ。

なんて思いながら

結局彼に甘えてしまったな、とどこか罪悪感。




「そうなん?なおさら行ってよかったわ」



ふと彼は笑った。

どうも私は彼が笑っていると安心するらしい。


すると彼は続けて言う。



「そういえば、この前は結局どうなったん?」

「この前?」

「コーイチ」

「あっ…あぁ」



ユーキの電話したときと同じように

自宅に着いてからすぐにコーイチが寝てしまったことを伝えた。


よくもまあ我ながら

こんなにスラスラと嘘がつけるな、と自分が少し怖くなる。



「それで今日はAが俺に介抱されるってわけや」

「う…ご迷惑おかけします」




よたよたと未だに調子の良くならない身体を引きずる。




「それはそうと、終電はないやろ?

…どないしよっか?」

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作者名: | 作成日時:2017年11月6日 17時

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