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カラオケ大会もかなり盛り上がって

あっという間に日付けが変わっていた。


そしていつの間にか、杯を重ねていた私。



今日は大丈夫そう。

万が一のタカシもいるけど

迷惑はかけないぞ。




と思った矢先

冷や汗が出てきて

視界がぐらぐらした。



うそ。いきなり?


「ちょっと、トイレ行ってくる」


あくまでも普通に。

皆に声をかけてから、

部屋を出た瞬間に猛ダッシュした。



やばい。これはやばい。



トイレに着いた瞬間、

戻すのかと思っていたが急に落ち着きを取り戻した。


…ギリギリセーフってとこか。



汗を拭きながら

壁に寄りかかって一息つく。


楽しいけど、これからはキツイかも。


そう思ってしまえば眠気に襲われてきて

帰りたい。と呟いていた。



これからどうしようかな、と思いつつ


トイレを出ると、


「Aちゃん」


という声。


あの彼だった。




「えっ、どうしたの?」


「んー、なんか、二人で話したいなって

思ってさ」




おっと。これは。



「そう?なの?

えと、皆は?」


「まだいるよ」


「そっか、」




だからといって何を話せばいいのか。


そこまで鈍感でもない私を知っているのか

あえて表にその雰囲気を出している気がする。




「いつも隣に太陽がいるし。

なかなか話せないから、」



不意に彼が私に近づいた。


いくら役で近い距離をとっていたとはいえ

今はただのヒト同士。


確かに彼はかっこいいけど

信頼してるとか、仲良くしようとは思わなかった。



すると、視界が再びぐらっと傾く。

あー、やばい。

途端に頭にガンガンと痛みが走った。





「A!!!」


「あ、」




コートを着ている彼。


タカシ。



なんでここに?



「ほら、コート持ってきたから着て。

カバンも持ってきたから。

帰るで」


「えっ、うん」



「A、具合悪いみたいやから送ってくわ。

今日は楽しかったで!

また集まろな!」



「お、おう」



タカシはいつもの笑顔を彼に見せて

私の背中をぐいぐいと押した。



「またね」


「ま、またね」



彼は相当驚いていたみたいで。

私に声をかけてくれたけれど

少し歩いてから振り返れば、

彼の微笑みは消えていた。



なんか、人間関係の闇を見た気がする

なんて。

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作者名: | 作成日時:2017年11月6日 17時

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