50 昔の話 ページ50
次の日の練習後は私と春菜で虎丸くんのお店に手伝いに行った。
お店は大繁盛で、よくこんな大仕事を練習後にできたものだと感心した。
「虎丸のチームでの様子はどうですか？
あの子、みんなの足を引っ張っていないかしら？」
お店が終わった後の片付けの最中、虎丸の母にそう尋ねられた。
「足を引っ張るなんてそんな！
虎丸くんは素晴らしい才能を持っています。
プレイのセンスもさることながら、
気も遣えて優しい、イナズマジャパンになくてはならない。
そんな選手です。」
そういうとお母さんは少し安心した顔をした。
虎丸は恥ずかしそうにして聞こえないふりをしていた。
その後少し虎丸と春菜と3人で厨房の掃除をしていた頃、
春菜がふと口に出した。
「A先輩のことを調べて思ったんですけど、先輩ってすごい選手だったみたいじゃないですか？
なのにどうしてバレーを辞めちゃったんですか？」
やはり情報通の春菜。やっぱり調べていた様だ。
「んー理由はたくさんあるけど、きっかけかなって思うのは1つあって・・・・
私、もともとセッターって言うポジションだったの。
サッカーで言うMFみたいな感んじかな。チームの司令塔。
でも途中から私のレシーブ力がコーチに認められて、
リベロっていうポジションになったの。
そのことで戦術の幅が広がって、初めは良かったの。
でも、私がセッターじゃなくなったのに不満を持つ選手がいて、
その子達から監督に対してのいじめが始まったの。
それでどんどんエスカレートして監督は心身を病んで入院、
でも私がセッターに戻る気は無いってことを伝えると私がいじめの的になって…」
「そんなことがあったんですね・・・・」
春菜や虎丸はいつの間にか手を止めて聞いてくれていた。
「で、私の行ってたチームは全国でから集められた
バレーの得意な子たちのチームだったから、
もし私がバレーで進学したとしたら、全国どこに行ってもそのチームの仲間がいるの。
そう思ったら、私こんなバレー界に居続けたくないって思っちゃって。」
「Aさんにもそんな事があったんですね・・・。」
虎丸は深刻そうな顔をした。
そんな虎丸に母性をくすぐられ、私は彼の頭を撫でた。
「私は逃げてしまったけど、選手のみんなには
悲しい思いを残したままにならないようにしてあげたいなって勝手に思ってるよ。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
明日はついにデザートライオンとの試合である。
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あずきちょこ(プロフ) - ルルさん» ご指摘有難うございます！ご感想にも感謝です！有難う御座います。 (2020年7月4日 21時) (
レス) id: 1615f8fdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 凄い面白いです！後、鳶高と書いてありましたが、飛鷹だったかと… (2020年7月3日 18時) (レス) id: 221a90b765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あずきちょこ。 | 作成日時：2020年6月24日 3時
