108 ページ8
宿舎に着き、シャワーを終えた頃には、佐久間くんは他のメンバーと練習を始めていた。
私や佐久間くんのように早起きしたメンバーは意外といたらしい。
みんな朝から練習をしていて、その場にいなかった円堂くん、鬼道くん、豪炎寺くんも起きていたようで、
段々と似てきたというか、チームとして1つになってきたような気がした。
佐久間くん、染岡くんは他のメンバーと大差ないくらいのレベルにまで持ってきており、どれだけの思いでここまで来たのかが分かった。
今日は会場に行くまでの移動に、船がある。
「・・・」
「どうしたの？Aさん」
パソコンを見ながら悩む私に冬花が尋ねる。
「どうかしたのか？A？」
「いや、私船だけは酔いやすくて・・・・。
いろいろ検索して、対策だけはバッチリなんだけどちょっと不安でね・・・。」
「誰かと話してれば大丈夫だろ！
酔いやすいやつは波を見るんじゃねえぞ。特に近いところの波ほど酔う。
話し相手がいなくても、遠くの景色を見てるのがいいぞ。
あとは他の奴が話してる内容に集中して、波の感覚に気を止めないことだな！」
「おおお・・・！ありがとう・・！酔い止めより心強い魔法のお言葉！！」
綱海くんの心強いアドバイスを聞いただけで不安が飛び、安心して船に乗ることができた。
乗船し、隣に座ってくれた不動くんに対して一方的に話しながら過ごしていると、スターティングイレブンが発表される。
今回も不動くんはベンチスタートで不貞腐れていたが「リザーブは、休みという意味ではない」という監督の言葉を聞いてすぐに機嫌を直した彼は、本当に素直で可愛らしい。
「・・・ふふ。」
「何だよ。何笑ってやがる。」
彼は不機嫌な顔をして睨むが、その表情の裏にはどこか楽しそうな彼が隠れているような感じがした。
自分がピッチに立てるかもしれない。いや、立てる。そう確信できる発言を監督から頂いたのだ。
楽しみでないわけがないだろう。
「ううん。今日も頑張ってね。」
そういうと彼は顔を背け、窓の外を見た。
窓に映る彼の顔は静かに笑っていた。
109 ナイツオブクイーン 試合開始→←107 ナイツオブクイーン戦 朝
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪音(プロフ) - 更新分読ませていただきました。更新されてとても嬉しいです！ (7月18日 23時) (
レス) id: 0c7dabd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
あずきちょこ(プロフ) - 雪音さん» ありがとうございます！！とっても嬉しいです！更新頑張りますね！ (7月8日 19時) (レス) id: ff52b3536b (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - とても面白いです！できれば更新して欲しい (5月27日 13時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
あずきちょこ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！とても嬉しいです！！今後ともよろしくお願いいたします！！ (2021年9月27日 18時) (レス) id: 1615f8fdf9 (このIDを非表示/違反報告)
あずきちょこ(プロフ) - 遊星さん» ありがとうございます！少し忙しくしていましたが、そう言ったお声があると嬉しく、頑張れそうです！ありがとうございます！！ (2021年9月27日 18時) (レス) id: 1615f8fdf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あずきちょこ。 | 作成日時：2020年10月10日 15時
