雨のきっかけ。 ページ3
雨宮を好きになったきっかけは些細なことだ。小学校が同じで校区の都合上たった2人、他と違う中学に通うことになった。
小学生のときから近所なので母親同士は仲がいいが、私たちには特につながりはなかった。
いや、何かあった気もするけど。
まぁ、どうせそんなにたいしたことではない。
入学して少したったとき、たまたま登校が一緒になって話すことになった。
話題は好きな映画の話。偶然にも好きな映画が同じだったのだ。
その成行きで映画の続編を貸してもらうことになった。
「おっ水無月もそれ好きなん?やっぱ面白いよね」
「うん!でも続編見れてないんだよね……。」
「あ、俺、DVDもってるよ!貸そうか?」
「えっ。ほんと?貸して欲しい!」
「じゃあ見たら感想聞かして!」
と、言われて次の日の登校も一緒になって感想を言いあったり、お互いの映画を貸しあったりするうちに毎朝、一緒に登校するようになった。
初めは、たまたま好きな映画が同じ友達としか思っていなかったのだけれどそれを自覚する日がきた。
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それは、彼がクラスメイトに告白されたことを相談された時だ。
「俺、はじめて告白されたんだけど。」
初めての告白だったらしく、どうすればいいのかと相談された。
一緒に登校するのが日課になっていたけれど、もしアイツに彼女ができたらこれも誰かのものになってしまう。
そう考えると急に心がくるしくなって。
雨宮が女の子の告白を断ったと聞いた時はホッとしてしまった自分がいて、自分勝手な独占欲の醜さといつの間にか育っていた気持ちに気が付いた。
そして、なんだかんだ人気のある彼と一緒に登校できることにこれ以上ない幸せを感じていた。
あーあ、好きになっちゃった。
小さなきっかけからこんなにも簡単に人は恋に落ちてしまうみたいだ。
そう思った。
気づいてしまったには頑張らないと……。
…そういえば、雨宮に告白したのって誰だったんだろ。
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作者名:Biske | 作成日時:2017年6月24日 15時