元オタク、文豪世界に転生しました (ページ4)

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四話ページ4

「取りあえずお茶づけ持ってきたよ～…おや、起きてて大丈夫かい？」

ドアが開くと、お茶づけを持った森さんが入ってきた。

「はい、だいぶ良くなったので。」

「そうかそうか。…で、どうなったんだい？」

それまでの笑顔が嘘のように真顔になった森さんが太宰さんに問う。

「ウチで引き取ることになったよ。『是非ともお願いしますぅ』ってさ」

…断れない状況にしたくせに。

恨みを込めてへらへら笑っている太宰さんを睨むと、森さんが苦笑をこぼした。

「相変わらずだねぇ、太宰くんは。あぁ、ごめんよ。食べるといい」

森さんがお茶づけを渡してくれる。

「…思ったよりおいしい。」

「思ったよりって酷くない…？」

森さんが少し肩を落とす。

「今はこんなに頼りなく見えるかもだけど―――」

そこまで聞くと、森さんの「君も酷いねぇ！」という声が聞こえる。

「――この人、ポートマフィアの首領だから。森鴎外」

「森さん…じゃなくて、えーと、ボス？」

そう呼びかけると、森さんが姿勢を正してニコリと笑った。

「どうしたんだい？」

一見ただの会話に聞こえるが、首領としての圧力が掛かっており、若干身構えてしまう。

「なぜ私はポートマフィアに？」

「君の能力さ。…実際、君が餓死しようと、なんでもいい。ただ、その能力は太宰くんが磨けば輝
く。
　私たちが欲しいのはその能力だけだ。」

なんとも、正直すぎる本音だ。無理に『君を死なせたくない』とか言われるよりいいけど。

「あの執事みたいなやつですか？」

お茶づけの最後のひと口を食べながら尋ねる。

「あぁ、確か《黒の使い》といったか。」

「ネーミングセンスが中二病…」

若干肩を落とすと、森さんがクツクツと笑う。

「自分の能力名に文句を言っている人は初めて見たよ」

「そうですか。」

本当に中二病感あふれるAなのだからしょうがない。「《月下獣》！！」とかのがかっこよくな
い？