ﾋﾞﾀｰ*ｽｲｰﾄ*ｼﾝﾄﾞﾛｰﾑ (ページ7)

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不安な声色ページ7

*

まもなく、列車が到着します

♪♪～

電車のアナウンスと共に

『すみません、どなたですか…？』

…

電話の向こうの彼女は

少し不安げな小さな声で、

俺はなんて言ったらいいのかわからず、

とっさに、

｢あ、赤い手帳！

…忘れて、、ませんか？」

としか言えなかった。

え… と彼女が言った後、

鞄の中をごそごそと探す

音が聞こえてきて、

もしもし…と

さらに不安そうな声が返ってきた

なんでか悪いことをしているみたいな

気分になって、

『えっと、さっき地下鉄の車内で拾って、

駅員さんに届けようかとしたんですけど

挟まってた封筒に今日中に必要なものだって

書いてあって、で、あの～

あ、名刺！名刺があったので…

すみません、勝手に電話を… 』

自分でも何を言っているのか、

わからなくてどうしようかと

思っていると、

｢ありがとうございます…！」

と、さっきとは違い、

ぱっと明るくなった彼女の声

不安げな声色ではなくなったことに

少し安心した俺は、

『今どこにいますか？

手帳、届けます。』

と、言っていた。

自分でもびっくりするくらい自然に。

｢そんな…！ご迷惑かけちゃうので、

わたしが受け取りに行きます！」

と、彼女は遠慮していたけど、

彼女がもう駅を離れていることと、

俺がまだ駅を出てないことを

理由に付けると納得してくれた。

また、着いたら連絡します。

と、言って彼女との電話を切り、

さっき乗っていた方向とは逆の

電車に乗り込んだ。

*