生温い裏切り【sm】 ページ26
幼馴染のAはとても優しくて俺みたいな暗い奴にも声をかけてくれ、明るく気さくで所謂聖人みたいだった。
特に幼馴染の俺がクラスで馴染めてないときは、俺と男友達を近づけさせようとしてくれたり俺の人生の節目には必ずAがいた。
高校1年生の夏、高嶺の花みたいな彼女にも遂に彼氏ができた。
サッカー部のキャプテンで爽やかで顔も整ってて、俺とは正反対の奴だった。
何となく、何となく嫌だった。
高嶺の花の彼女の笑みがどんどん苦しそうに歪んでいく。
耐えられなかった。
俺は上手く手を回した。それはもうとても上手く。
奴と別れさせて、他の男も彼女を見ないように少しだけ悪い噂を流したり。
気づけば、哀れまれることもなくただ僻みの対象となっている彼女がいた。
ただ彼女は嫌な顔ひとつ見せなかった。
それどころかスッキリしたような、そんな顔だった。
彼女は多分作り物だったのだ。
貼り付けた笑みと作り出した偽物の優しさ。
俺はとにかく満足した。
今までの心の穴が全て満たされて、水のようにとどめなく幸福が溢れてくる。
あぁこれこそが。
彼女を救う最善の方法だったのだ。
だが彼女は翌年の夏、いなくなった。
突然のことで俺は何が何だか分からなかった。
幼馴染の俺に挨拶ひとつも無くどこかへ転校していった。
結局最後に見たのは酷くつまらなそうな顔をした彼女の顔だった気がする。
俺はそこからまた穴をぽっかりとあけて過ごすことになった。
それから数年立った今でも俺は彼女に執着している。
俺のその場の感情1つで彼女の化けの皮をはいでしまったのだ。
本当に正しかったのか。
それでも俺は彼女に対して申し訳無さと同等に愛情を寄せていた。どうしようもなく大きくて重たくてどす黒いその愛情は、水には流れない。
「裏切り者」
「お前もだろ」
口元の水を拭った俺は彼女に言い放った。
今まではいえなかったけど、やっと言えた。
彼女は、目を見開いた後に目を伏せた。
「あたしは、周囲からの期待を裏切った裏切り者。」
ぽつりと鏡の中で呟くセーラー服の彼女。
ほんの少し寂しそうに見えた。
「俺はお前を裏切った。お前を誰にも近づけさせないようにして、偽善者のお前の化けの皮を剥いだ。…どうだこれで満足か。」
彼女は俺の目を鏡越しにはっきりと捉える。
その目は怒りを含んでいる訳でもなく、悲しさを含んでいる訳でもなくて。
俺の事をじっ、と灰色の眼で見つめていた。
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ビー玉(プロフ) - Twitterフォロー失礼します！ (8月16日 1時) (
レス) @page32 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
シス(プロフ) - momijisandazoさん» 申し訳ありません…！今リンクを貼り直しました、ご確認して頂けると助かります！ (2022年3月21日 20時) (レス) id: 3c4da15d1e (このIDを非表示/違反報告)
momijisandazo(プロフ) - ツイフィの方が削除されていたのですがこの場合はどうすれば良いでしょうか？ (2022年3月21日 20時) (レス) @page24 id: def6b7fbc2 (このIDを非表示/違反報告)
シス(プロフ) - とまとさん» ツイフィ閲覧お願い致します (2022年2月2日 21時) (レス) id: 3c4da15d1e (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - Twitterフォローさせていただきますｯ(( (2022年2月1日 23時) (レス) @page10 id: 9799237945 (このIDを非表示/違反報告)
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