バレンタインデー。キュウビ編 ページ10
「A……今日はバレンタインデーですね…」
「そうだね！」
キュウビ君はちらちらと私を見る。
「まさか……私のチョコ待ってたりする？」
「…っ！そんなわけっ……」
赤い顔で口をパクパクしながら言われても。
「あ、ごめん。私、料理下手なんで作らんよ。」
そう言うと、
ガーンとした顔の後に
「普通、いつもバトルなどで、君を助けているではないですか！それなのに僕に何もくれないんですか！？」
ギャンギャン犬みたいに言うキュウビ君。
「いやぁ、そう言われてもねぇ……」
「いいですよ。いいですよ。僕はどうでもいいんですね。」
なんか、落ち込んでらっしゃる。
「ふぅん？そんな事言うんだぁ。じゃあオロチに作っちゃおっかな？」
ニヤッと笑うと
「オロチ！？なぜオロチが出てくるんですか！そして、オロチには作るってどういう事ですか！」
「……分かったよ。オロチじゃなくてキュウビ君に作るよ。」
「当たり前でしょう。そうして、僕に渡した方が、ホワイトデーにお返しを必ず……」
「はい。あげる。」
「へ？」
キュウビ君の翡翠色の瞳が見開かれる。
「ちゃんと作ってたよ？だけど、キュウビ君の反応が面白くて……ははは…」
ドンッ
「あまり僕を怒らせない方がいいですよ？」
頭の隣に手が置かれている。
「キュウビ君……？」
首元にそっとキスされた。
「えぇっ!?」
「A、ホワイトデーは楽しみにしててくださいね。」
ニコッとキュウビ君は微笑み消えてしまった。
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