柵【あも】 ページ43
雨の降るなか、睦月は一人、傘も差さずに歩いていた。
──────ああ。やはり、そうだったか。
八雲から瞳の色を聞いた瞬間、睦月は確信した。
金の瞳。
もう、結論は一つだった。
睦月はただ、歩き続ける。
目的地などない。
「・・・・・・・繋ぎ止められなかった。」
─────無意味だったのだ。
そう。
全ては、無意味だった。
「・・・・・鬼は所詮、鬼。」
かつて、睦月が友人だった男に言われた言葉だった。
─────人になんて、なれやしねぇってか。
睦月はそう呟いて、嗤う。
「だったら、自分で息の根止めるしかねぇよな。」
睦月の視線は自身の腰にある刀に行く。
そして睦月は目を瞑る
映るのは、最愛の妹、弥生。
それから、叔父であり親代わりでもあった咲哉。
そして、仲間や友人──────
「──────あー、はは、怖ぇなぁ・・・・」
死ぬことが?いや、そうじゃない。
死は恐れていない。
咲哉の言葉を思い出す。
──────『死は解放だ。ありとあらゆる柵から解放される。』
そうかもしれない。
だが、その柵は思っていたよりも自分にとって大切なものになっていたらしい。
解放されるのが、怖い。
だから。
睦月は笑う。
それは、とても穏やかな笑みだった。
──────────
そして、睦月は姿を消した。
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夢沢夏美(プロフ) - 更新しました (2019年1月29日 16時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
夢沢夏美(プロフ) - 更新します (2019年1月29日 16時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
月輪(プロフ) - 終わりました (2018年9月30日 0時) (レス) id: 70f70208e4 (このIDを非表示/違反報告)
月輪(プロフ) - 更新してきます (2018年9月29日 23時) (レス) id: 70f70208e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢沢夏美(プロフ) - 終わりました (2018年9月28日 11時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:血塗られし彼岸花参加者 x他6人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年9月17日 21時