辻斬り【あも】 ページ35
「ケーキ美味しかった〜」
信乃と八雲は屯所へ帰ろうとしていた。
そんな二人の耳に、井戸端会議をしている中年の女性達の話が入る。
「ここいらでまた辻斬りが出たんですって!」
「もう十人目よ?たったの二日で!」
「怖いわぁ〜。早く捕まってくれないかしら?」
「・・・辻斬りかー。」
「二日で十人とはな。」
「怖いねー。うちにも話が来るかな?」
「さァな。」
「──────あ。」
信乃は前を見て声をあげた。
「如月兄と如月妹じゃねェか。」
「・・・ん?」
睦月、弥生も二人に気付き、弥生は、しーちゃーん!と大きく手を振り、睦月は、よぉ、と片手を上げる。
睦月の方は隈は消え、顔色も良かった。
「睦月さん、顔色良いですねー」
「あ?ああ・・・。最近は、よく眠れるようになったな。」
睦月はそう答えるが、その顔は曇っていた。
信乃は、ん?と首を傾げる。
「それにしては憂鬱そうだが。」
八雲も首を傾げる。
「・・・・・・アイツが出てこなくなったからな。」
睦月はぼそ、と呟いた。
信乃と八雲には聞こえなかったようだが、弥生の耳にはしっかりと届いていた。
その意味を理解した弥生は、ほっとしたように笑う。
だが、相変わらず睦月の顔は険しいまま。
「そういや、ここらで辻斬りが出たらしい。」
「・・・辻斬り・・・?」
「二日で十人らしいですよー。」
「・・・・・・・それは、」
睦月の目が、見開かれた。
「・・・おにい、ちゃん?」
弥生は睦月の羽織の裾をぎゅっと握る。
信乃も八雲も、睦月の表情を見て、思わず目を見開いた。
睦月の顔が、何の感情もなくしたような、まるで人形のような無表情だったからだ。
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夢沢夏美(プロフ) - 更新しました (2019年1月29日 16時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
夢沢夏美(プロフ) - 更新します (2019年1月29日 16時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
月輪(プロフ) - 終わりました (2018年9月30日 0時) (レス) id: 70f70208e4 (このIDを非表示/違反報告)
月輪(プロフ) - 更新してきます (2018年9月29日 23時) (レス) id: 70f70208e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢沢夏美(プロフ) - 終わりました (2018年9月28日 11時) (レス) id: 3b66c3af26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:血塗られし彼岸花参加者 x他6人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年9月17日 21時