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エレベーターに乗り着いたのは綺麗な夜景が広がるお洒落なBARだった。
「綺麗…」
窓際の席に私を座らせると横山さんはお酒を買いに行く。
こんな綺麗な場所初めてだった私は景色に夢中になっていた。すると、突然肩にかけられた暖かい上着。
『掛けとけ』
「あ…ありがとうございます…」
『目立ってしゃーない…』
ﾎﾞｿｯと呟いた横山さんからお洒落なお酒を受け取ると、横山さんは周りを見回す。
「あの…やっぱり私がこんな場所に居るのは似合わないですよね…？」
『何言うてんの？さっきからお前のこと下心丸出しの男らが見てんねん。阿呆』
いきなり口悪くなった横山さん。多分周りの男達にイラついているのだろうと思いながら私はお酒を口に運んだ。
「でも横山さんが隣に居てくれるので大丈夫です」
そう言って横山さんを見上げると、お酒を見つめたまま耳まで赤く染まっていた。
「本当にありがとうございます。こんな素敵な場所に連れて来てくださって」
照れてる横山さんから景色に視線を戻すと、そっとお酒を持つ手に綺麗な手が重なった。
『行き詰まった時は良くここに来る…やけど女を連れて来たのはお前が初めてや』
「それは…嬉しいです」
『っ…嬉しいだけか？』
「え？えっと…」
ｷﾞｭｯと握られた手に私は次に言う言葉を悩んでいれば、突然手を離されてしまった。
『もうええ…』
「えっと…あ…私も初めてでした！」
『何がやねん…』
「こんな綺麗な夜景が見れるBARに来ることも…男の人と来たことも」
『なんで初めてをお前と来たか…分かるか？』
横山さんはお酒を飲み干すと景色を見つめたまま私に問いかけた。
「私が来たことないって分かってました？横山さんはいつも勘が鋭いというか………」
『好きやからや』
突然の横山さんからの告白に私は動きを止めた。
『分かっとる…お前と俺はそんな関係になれへん事ぐらい。この鎖がある限り…』
横山さんは自分の右手に輝く黒い宝石を見つめると、私の方へゆっくり視線を向ける。
『それでも俺は…お前のことを諦めたりせえへん。どれだけあいつらに嫌われようとも』
横山さんの瞳はあの時から変わらず真っ直ぐで、吸い込まれてしまいそうなぐらい強い眼差しを向けていた。
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作者名：夜 | 作成日時：2021年11月10日 20時
