愛されメイドの備忘録 (ページ14)

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緩んだ腕から解放されると安田さんは何も言わずに部屋のドアを開けた。

「安田さん…？」

『所有物に自分のものって印を付けて何が悪いんやろな』

「まぁ…大倉さんって独占欲強いですから…私ももう少しバレないようにするべきでした」

左耳に触れながら安田さんに微笑みかけると優しく前から抱き締められた。

『メイドちゃんってほんまに……』

ｷﾞｭｯと強く抱きしめ頭を軽く撫でると安田さんは優しく可愛らしい笑みを浮かべた。

『可愛ええわぁ…笑』

「え…っ…？」

『めっちゃ可愛ええよ…』

微笑み続けたまま安田さんは私から手を離し部屋へと戻ってしまった。

「可愛い…なんか純粋に嬉しいなぁ…」

新しく頂いたメイド服のおかげで見れたのか、安田さんのあの笑顔が頭から離れない。

「安田さんも可愛いですよ」

ﾎﾟﾂﾘドアの前で呟くと私はその場を後にした。

数日後安田さんの部屋に向かうと、汚れた洋服に身を包んだ女性が複数の手に掴まれている絵が増えていた。

両耳に傷跡を残して。