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『ちゃんと洗っとけよ』
ただそれだけ言い残すと部屋から荒々しく出て行ってしまった。
「大倉さん…」
私もすぐに部屋を出るとパーカーを洗いに向かった。中々に落ちない絵の具に苦戦したが、なんとか綺麗な白いパーカーに戻すと私は庭に出てハンガーにかけた。
「よし…綺麗になった…!」
すぐに大倉さんに報告しようと屋敷の中に戻ると、廊下に響き渡った怒号。
すぐさま声がした方へと向かうとそこには安田さんに掴みかかっている大倉さんの姿があった。
「な…何してるんですか!」
『あ…メイドちゃん助けてやー暴力やでこんなもん』
『使用人汚したくせに良く言えんな!』
「と…取り敢えず落ち着いてください!」
私は大倉さんを安田さんから離させると後ろから腰に回された腕。
安田さんの顔が耳元に近づいてくる。
『お似合いやんかぁ…綺麗な耳やろ?』
私の左耳を指でなぞると大倉さんを見上げた。
『綺麗?ただの傷やろ』
『外堀ばっかり埋めてる奴には分からんかぁ』
安田さんは挑発するように笑いかけると、大倉さんはゆっくり近づき私の右手を握ると反対側の耳に顔を近づけた。
「ま…待って…っ…」
『動くな』
耳元で響いた低い声に私は動きを止めると耳に走った鋭い痛み。
『ヤスこそこんなに傷ばっかり付けて怖がられてるんとちゃう?』
鼻で見下したように笑うと大倉さんは手を離して戻って行ってしまった。
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作者名:夜 | 作成日時:2021年11月10日 20時