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「丸山くん…私は全然気にしてないから」
『それでもメイドちゃんの悪口言われてるの俺は嫌やから』
きっぱり言い捨てると私の腕を掴んでそのまま自室へと向かった。
「でも村上さん来なかったら今頃…」
『別にあんな奴要らんやろ』
イライラが治まらないのか丸山くんは、頭を乱暴に掻くと私の腕を引いて共にソファに腰掛けた。
『それと…大倉と横山くんの話やけど。あれほんまのこと?』
「本当だけど…別にやましいことなんて無いからね!」
『あったら俺…自分が壊れそうやわ』
「なんであんなタイミング良く見られるんだろ…」
『好きやからやろ。メイドちゃんに好意があるからずっと追いかけて見てまう』
丸山くんは私の手を握るとゆっくり顔を近づけてきた。咄嗟に目を瞑ると唇を指でなぞられた。
「ん…?」
ゆっくり目を開けると黒い瞳が私の唇を愛おしそうに見つめていた。
『でもメイドちゃんの唇も身体も心も…全部俺らのやから。邪魔する奴らは要らんねん』
唇に置かれていた親指の爪が私の唇に強く食い込まれる。
「い…っ…」
『こうやってメイドちゃんを汚しても…』
ピリッとした鋭い痛みに襲われると今度は柔らかく優しい丸山くんの唇が押し当てられる。
裂けた唇を軽く舐めて離れると、微かに赤く汚れた丸山くんの舌がゆっくり口内へと消えていった。
『優しく愛しても…このまま食べたとしても誰も僕らを責めない。メイドちゃんは主に忠順やもんね?』
太腿を撫でる掌が徐々にスカートの中へと入ってきそうになる。
「だ……駄目です!」
登ってくる腕を両手で掴むと丸山くんはクスッと笑った。
『冗談やで?』
すぐに手を離すと丸山くんはえくぼを見せて明るく微笑んだ。
「も…もうやめてよ!笑私仕事戻るね!」
立ち上がって離れようとすれば腕を強く掴まれた。
『ちゃんと僕以外の男でも断るんやで?』
「わ…分かってる…!」
力強く頷くと私は部屋から出て行った。もう少し周りに危機感を持たないといけないと再確認した。
「丸山くんがあんなに怒るなんて初めて見たなぁ…」
あの2人は今頃村上さんのお説教を受けてるのだろうか。
””
『冗談か…。また誤魔化してもうたなぁ……』
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作者名:夜 | 作成日時:2021年11月10日 20時