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「あの…」
『ん?なんか相談か?隣座りや』
「い…いや…」
村上さんに半ば強引に隣に座らせられ、私は大福を机の上に置いた。
「よければ話しながら一緒に食べませんか?」
『いや、それはお前さんのやろ?』
「1人じゃ食べきれませんし…食べてください!」
『なら…貰う』
大福を1つ差し出すと村上さんは仕方なく受け取り、可愛く1口頬張った。私も1口食べると甘酸っぱい苺の味が口の中に広がった。
「単刀直入に聞きますけど…村上さんはどうして私にこんな沢山のプレゼントをくれるんですか?」
『んなもん好きな女やからやろ』
「へ……?」
『別に服にこだわりがあるわけでもあらへんしな…やったら好きな女に貢いで喜ぶ顔が見れればそれでええと思ってな』
大福を全て口に運ぶと村上さんは深くソファに寄りかかった。
『お前さんが幸せになってくれればそれでええんや』
優しく頭に手を置いた村上さんはゆっくり撫でると綺麗な八重歯を見せて微笑んだ。
「私は…皆さんのメイドとして働けているだけで幸せですよ」
少し直球に言い過ぎたと思い、照れ隠しに大福を口に運ぼうとした手は強く握られ遮られた。
「え…?」
視線を村上さんに向けると手を口元から退かされ近づいてきた顔と唇に触れた甘い唇。
大福を手から取られると絡まれた長い指。
抵抗も出来ず、何度も角度を変えて降り注ぐ口付けに応じていればゆっくりと離れていった。
「む…村上さん…?」
『顔赤すぎやで?笑』
何事も無かったかのように私の頬を撫でながら笑う村上さんの手に自分の手を重ねた。
「珈琲冷めちゃいますよ?また何かあればお呼びくださいね」
だから私も何事も無かったかのように冷静に対応する。
少しスキンシップが過ぎてるだけと心に言い聞かせながら。
『A!おやすみ』
「お…おやすみなさい」
ドアを閉めても唇に感じる甘い感触。
ここの主は大分皆さん変わってる。
変わってるというか…私への対応が重い。
「名前久しぶりに呼ばれたなぁ……あ、大福忘れてきた!」
後日オーダーメイドで作られた綺麗なメイド服が届いた。
オーダーメイド……?
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作者名:夜 | 作成日時:2021年11月10日 20時