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「でも、哀ちゃんが無事で良かった」
「・・・本当、バカなんだから」


哀ちゃんに呆れた溜め息を吐かれた


「あれからどうなった?」
「話をすると、あれから三日が経ってる」


事件の事を哀ちゃんから聞いた

事件の犯人は一度は逃げられたけれど、犯人が言い逃れは出来ないほど、証拠も沢山残っていて、すぐに捕まったという

直情的な犯人だったらしくて、俺が見た犠牲者の人は犯人が感情的になって殺してしまった。そして、それを見た俺の事を殺そうとしたらしい

抵抗された事に、腹が立ったらしくて、俺は必要以上に痛め付けられたという


「まぁそのお陰で助かった訳だけど」
「そうね」
「哀ちゃんもありがと。助けを呼んでくれて」
「当たり前じゃない。林の中を走ったせいで、私まで足がボロボロ」
「ごめんごめん」


そんな話をしていると昴くんがお医者さんを連れて帰って来た

その為、一旦、哀ちゃんとの会話を終えて、精密検査をする事になった。起き上がろうとしても、脚は動かず、車椅子での移動になり、昴くんに手伝ってもらいながらになった


「長かったぁ・・・」


上手く動けない事もあって、検査には物凄く時間が掛かってしまった


「お疲れ様です」
「昴くんもありがと。哀ちゃんもね」
「これぐらいするわよ」


哀ちゃんは流石に車椅子は押せないので、移動中の話し相手になってくれていた


「でも、もうあんな無茶はしないで」
「頼まれてもしないって。割りと痛いし。・・・怖いし」


あの時は哀ちゃんの事を考えていたから多少はマシだったけど、今になって、怖さが襲って来る


「次やったらひっぱたくからね」
「えっ」


哀ちゃんの唐突のひっぱたく宣言に驚いてしまう


「私からもお願いしますよ。もう二度と彼女の苦しい表情は見たくないので」
「哀ちゃんの事が好きなの?」
「それはちょっと違います」


昴くんに訊くと即答された


「そうなんだ」
「それと、ですが・・・」
「うん、なに?」


表情が暗くなった昴くんに訊く


「・・・Aくんの肩は激しく動かす事は出来ないそうです。脚も同様に」
「え、それって、どういう・・・」


昴くんは俺の怪我について話してくれた

あの事件で負った怪我が酷くて、日常生活には問題ない程度には動かせるが、俺の肩も脚も激しい運動が出来ないようになったそうだ


「う、嘘だよな・・・?」
「・・・嘘では無いです」


それは俺が眠っている間に行われた検査で既に結果が出ていた


「守るって、言ったのに・・・」


そんな言葉と共にポロポロと涙が溢れ落ちていた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

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